もしも貴方が勤めている会社でうつ病を患って休職した人がいて、その人が復職してきたらどう接したらいいと思いますか?うつ病患者さん向けのアドバイスや復職に向けての情報というのは書籍なり、ネットなりで色々探せますが
『うつ病休職者が復職した時の接し方』
というのは情報としては少ない方ではないかと思います。また最近、国が
「2020年までに職場でメンタルヘルスについての措置を100%受けられるようにする」
という方針を発表しているので、これからの企業では
『職場のメンタルヘルスケア』
『うつ病休職者へのリワーク(復職)プログラム』
というのが必須となってきます。そこでここでは
- うつ病休職者が復職してきた時の接し方
- 職場でのうつ病&メンタルヘルス対策チームについて
というのにポイントをおいて、お話していきたいと思います。
- うつ病は『腫れ物』ではない
- うつ病休職者がリワークした時に、周りが気をつけたいポイント
- うつ病休職者への仕事の依頼の仕方
- 時には一声かけて、寄り添って
- 『社員全員で』うつ病の正しい知識を得よう
- うつ病&メンタルヘルス対策チームを作ろう
薬のみに頼らない最新のうつ病治療法
90日で90.9%のうつ病寛解率!再発率は2.3%!
うつ病治療なら東京日本橋のYSこころのクリニック
1.うつ病は『腫れ物』ではない
うつ病を患っていた社員が治療の為休職し、症状が職場復帰出来るまでに回復してリワークとなった時に社内の誰しもが陥ってしまう、ちょっと誤った接し方・・・それが
『腫れ物に触る』
です。
うつ病は患った本人のストレスや過度な精神的な不安によってなる病ですが、きちんと治療を行っていれば症状は抑えられているので、
「出来るだけ本人がストレスを溜めないように。。。」
と思って、リワークしたのに仕事をさせなかったり、遠巻きに様子を伺ったりしなくても大丈夫です。逆に必要以上に腫れ物に触る接し方をすると、うつ病休職者の為のリワークプログラムの一環となる
- 周囲とコミュニケーションを取る
のが難しくなったり、「自分がリワークした事で周りに迷惑をかけている」という思いを生んでしまい、そこからうつ病を悪化させてしまう可能性は高くなってしまいます。
2.うつ病休職者がリワークした時に、周りが気をつけたいポイント
うつ病で休職していた社員がリワークした時、休職者本人にも「リワークがきちんと出来るだろうか?」という不安がありますが、同じ部署の人達も
「どう接したらいいんだろう?」
という不安があります。うつ病というデリケートな病ではありますが、だからといって
「再発しないように出来るだけそぉ~っと」
という接し方をする必要はありません。ただ周りが気をつけたい事として、次のようなポイントがあります。
休職理由を聞かない、勝手に喋らない
まず最初にうつ病で休職していた人がリワークした時にしてはならないのが
「どうして休職していたの?」
と休職理由を聞く事です。うつ病休職者にとって、会社へ行くというのだけでも、実はかなりの不安感が伴っています。そんな状況で休職理由を根掘り葉掘り聞かれれば、それがストレスになるのは間違いありません。
また休職者のリワーク先で上司やリワークを担当している人事や労務のスタッフが休職者の許可を取らずに勝手に
「今度、職場復帰するAさん、うつ病だったんだって。」 「本日から、うつ病で休職していたBさんが職場復帰しました。」
と喋るのも厳禁です。これについては社員であれ「プライバシー」に関わる事ですから、
「うつ病だった事を勝手に喋られた!プライバシー侵害だ」
となって訴えられたとしても、非は会社側そして喋った人となる可能性は高いですし、現在こうしたケースで訴えられるという事例も増えています。
うつ病休職者本人や家族を責めない
これは、うつ病休職者がリワークした後に「上司」といった休職者よりも上の立場の人にありがちな事なのですが、例として
「うつ病になったのは、君が物事を消極的に考え過ぎるからだよ。もっと積極的に考えないと。」
「奥さんも働いている共働きだから、うつ病になったんじゃない?。奥さんが家に居ればならなかったんじゃないか?」
というように、うつ病になった休職者本人や家族を責めたり、お説教じみた事をいうのも『してはならない事』です。うつ病になる原因としてはその人本人の考え方というのも確かにありますが、しかしこれは
『ストレスの受け止め方』
に原因といえるので、決してその人自体がどうのというものではありません。
上の立場の人からすれば「励まし」のつもりで言った一言でも、うつ病休職者にとってはそうは思いませんし、仮に家族は言われているのを知らないとはいえ、本人の前で家族を責めるような事を言えば
「自分のせいで、家族がこんな風に言われてしまった。。。」
と、うつ病の悪化・再発そして再度の休職へと繋がる火種を作ってしまうかもしれません。ですから、ここは
「復帰出来るようになって良かったですね。これから少しずつ慣れていきましょうね。」
というような一言で、うつ病休職者の焦りや緊張感を和らげるようしていきましょう。
リワーク出来たとはいえ「完治」ではない
うつ病休職者のリワークで、多分周りが一番誤解してしまうのが
「リワーク出来た=うつ病が完治した」
ではないでしょうか?
うつ病の症状は一長一短で今日が良くても次の日は具合が悪いというのは多いですし、完治するまでには長い道のりがあると言っても過言ではありません。そんなうつ病休職者がリワーク出来るようになった時というのは、
『寛解(かんかい)』
といって、うつ病が『80~90%治った』という状態なので、決して完治しているワケではありません。だからリワークしたからといって、
- 通常勤務と同じ仕事内容をしてもらう
- 会議への参加や外回りへの同行
- 出張
等をしてもらうなると、うつ病休職者にとってはかなりの負担となりますし、最初からリワークを失敗させる方向へしてしまっているのと同じです。
うつ病休職者がリワーク出来たとはいえ、それはあくまでも『完治に近い方向』にあるだけなので、いきなりの「リワークしたから普段の仕事と同じように」というのは止めましょう。
それから寛解の状態というのは、しっかりと主治医の治療を受け、投薬をしている場合であればそれを行っている事で保たれているので、リワーク後は通院や治療についての時間をしっかり取れるように環境やスケジュールを整えてあげてください。
ここが整っていないと、治療や投薬がきちんと出来ないのでリワークが上手くいかない可能性はより高くなります。
3.うつ病休職者への仕事の依頼の仕方
「腫れ物に触らないように」とはいっても、うつ病休職者がリワークした時に周りがちょっと躊躇してしまうのが
「仕事の依頼の仕方」
ではないでしょうか?通常、うつ病休職者のリワークというのは
① 会社への通勤に慣れる為のリハビリ出勤
② 午前中または午後のみで週に数日の慣らし出勤
③ ②の状態で週に5日勤務
④ 週に数日の定時勤務
⑤ フルタイム勤務(残業のない通常勤務)
という段階で行っていきます。会社に在籍している時間で出来る仕事というのは変わってきますが
①の場合:通勤や会社の雰囲気に慣れるのが目的なので、
・資料の整理や会社の備品チェックといった軽めの仕事
②の場合:2~3時間といった少しまとまった時間があるので
・データ入力や郵便物発送等の①よりも少し実践的な仕事
③の場合:勤務日数が増えるので
・①と②の仕事プラス、同じ職場の社員のサポート業務を行う
可能であれば電話や来客対応等もしてもらう
④の場合:⑤のフルタイム勤務に向けて
・①~③の仕事をしてもらい本人の負担になっていないかをチェックする
もし負担があったり、うつ病の症状が思わしくない場合は①~③に戻るのを検討する
としていき④をクリアして、最終的な⑤のフルタイム勤務でゴールとなります。
以上はうつ病休職者のリワークの流れを勤務形態で紹介したものですが、実際こうスムーズにいくのは稀なケースといえるでしょうから、うつ病休職者がリワークする時に
「今現在、出来る事・出来ない事」
というのをきちんとヒアリングするか、メモでも構わないので書いてもらってそれをリワーク先で共有すると仕事の依頼がしやすくなる効果があります。
4.時には一声かけて、寄り添って
うつ病休職者がリワークした時、腫れ物に触るようにされると負担が大きくなるだけでなく「孤独感」というのを強く感じる場合があります。そうすると
「早く、慣れなくちゃ」
「リワークを頑張って、出来るだけ早く通常勤務にならないと」
というプレッシャーがかかり、ここからうつ病の症状が悪くなるのが考えられます。そうなるとせっかくのリワークが成功からは遠のいてしまいますから、
「大分、職場に慣れましたか?。」
「何か気になる事はありませんか?。」
と一声かけて、うつ病休職者が焦りや孤独感を感じないようにするのも何気ない事かもしれませんが、リワークを成功するカギとなります。またもしも休職中に
- パソコンやコピー機が新しくなった
- 勤怠の処理の仕方が変わった
という事があったら、
「Aさんが休職中にコピー機が新しくなったので、多分使い方が分からないかもしれません。私が一度使い方を見せますから、マニュアルを見ながら確認してくれませんか?。」
と使い方をマニュアル任せにするのではなく、一緒にしてみるとうつ病休職者にとっては「使い方分からない」というストレスが軽減されます。
「ちょっと手間がかかる」と思うかもしれませんが、こうして時には一声かけたり、寄り添いながらリワークを進めていくと何か問題があった時に直ぐに気付いて対応出来るというメリットもあります。このメリットの部分を考慮すると、手間がかかったとしても行う価値は大いにあると思えませんか?
5.『社員全員で』うつ病の正しい知識を得よう
これまでにうつ病で休職していた人を腫れ物に触るような接し方をしない為に気をつけたい事や仕事の依頼の仕方というのを紹介しましたが、その前にうつ病を患っている人が居る・居ないに関わらず、
『社員全員で』
正しいうつ病の知識を得るというのが今後必要となってきます。こういう風に話すと
「けど、うつ病って個人の問題なんだから、そんなの社員全員でなくてもいいんじゃないの?」
となるかもしれません。もし仮に個人で行ったとしたら、
- うつ病の治療法について知りたい
- うつ病で休職中の生活の仕方について知りたい
- うつ病患者の為のリワークプログラムについて知りたい
と知りたい内容については人それぞれとなるので、知識についての個人差や偏りが出てきます。こうした偏りや個人差をなくす為に
『社員全員でうつ病についての正しい知識』
を得るのが重要となってきますし、またそれを「共有」していくと社内でのメンタルヘルス対策にも役立ちます。
6.うつ病&メンタルヘルス対策チームを作ろう
最後に5の社員全員でうつ病の正しい知識を得る、また
- うつ病についての情報をまとめたり、発信する
- 社内でメンタルヘルスチェックを行えるよう準備する
- 社員がうつ病になった時にリワークプログラムの作成やフォロー
を行う為に、
『うつ病&メンタルヘルス対策チーム』
を作りましょう。
その方が社員全員に情報を浸透させやすいのと、「2020年までに職場でメンタルヘルスについての措置を100%受けられるようにする」という国の方針が、今後もっと具体化した時に慌てる必要がありません。具体的にどういったメンバーが必要かというと
- 社内の人事や労務スタッフ
- 各部署の係長や課長といったリーダー的存在の社員
が基本となります。
まずこのメンバーでうつ病についての正しい知識や情報、メンタルヘルスケアチェックの方法といったのを話し合っていき、メンタルヘルスケアチェックは今後義務化していく可能性もあるので試験的な意味も含めて、実際に行ってみましょう。
ここでもし会社内に産業医が常駐しているのであれば、このうつ病&メンタルヘルス対策チームに参加を依頼してください。産業医がいれば、うつ病が疑わしいまたはうつ病休職者がリワークする時に医療面からのチェックやサポートが受けられるからです。
そして産業医に定期的に、うつ病についての正しい知識や「こんな時は、うつの症状かも」という講習会みたいなのを行ってもらうと、社員一人、一人にうつ症状についての注意喚起が出来る効果もあります。
もし産業医が在籍していない企業であれば、各都道府県にある「産業保健推進センター」内の
『メンタルヘルス対策支援センター』
という所で精神科を含む医師や看護師そして心理カウンセラーといったスタッフによる研修を受けれたり、相談が出来るようになっています。必要であれば企業にスタッフが出向いて対応をしてくれます。
メンタルヘルス対策支援センターの利用は無料なので、産業医がいない企業で
「うつ病について何か対策を」
と考えたら、まずここに問い合わせてみると準備がスムーズに出来たり、うつ病休職者がリワークする時のリワークプログラムを作成する時にアドバイスをしてもらえたり、面接指導などもしてもらえるので
「こういうセンターがあるんだな」
というのを知っておくだけでも、とっさの時の対応がかなり違ってくると思いますよ。
という事でまずは、うつ病&メンタルヘルス対策チームを作ってみましょう!
薬のみに頼らない最新のうつ病治療法
90日で90.9%のうつ病寛解率!再発率は2.3%!
うつ病治療なら東京日本橋のYSこころのクリニック