YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

投薬治療が基本とされてきたうつ病が 減薬・薬を使わない治療へと変わりつつある話

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『うつ病』

この病のイメージってどんなものでしょうか?多分、

  • 患者本人のストレスや心的負担が原因
  • 症状がひどくなれば、休職や休学を余儀なくされる
  • 眠れない、食べれない、引きこもり

といったのが挙げられるでしょう。そして

『薬を飲まないと治らない』
『薬を一生飲み続けないといけない』

というイメージもあると思います。

最近まで患者本人の不安・焦燥感・気分の落ち込みといったのを治していくのに、投薬治療はうつ病での基本とされていましたが、今は

  • 薬を減らす(減薬)
  • 薬を使わないうつ病治療

を行う専門医が増えてきていて、注目されています。

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目次

  1. 長くなるほど副作用や依存に悩まされる事に
  2. 自殺や暴力的になる危険性がある抗うつ薬
  3. 「薬が効かない」うつ病もある
  4. うつ病の減薬は一度に減らすのではない
  5. 注目度が高い薬を使わないうつ病治療法は、この3つ

1.長くなるほど副作用や依存に悩まされる事に

うつ病での投薬治療では通常、

  • 不安を抑える抗不安薬
  • 精神安定剤
  • 睡眠薬

といったのが使われ、この他にこれらの薬の副作用を抑える薬や内臓器官を守る為の胃腸薬といったのも処方されたりもします。

今簡単に例にしただけでも全部で6種類の薬がありますが、これは風邪や頭痛といった私達がよくなる病気で処方される薬よりかは多いといえますが、うつ病の場合だと、これは少ない方といえます。

うつ病の患者さんの多くは上の例のような薬を1つの効果で1種類だけではなく、

  • 抗不安薬 2種類
  • 精神安定剤 2種類
  • 睡眠薬 1種類
  • 胃腸薬 1種類

というような感じで処方されるので、1日に飲む量が20錠近くあるというのはそう驚くような話ではありません。そして中にはそれ以上処方されている人も患者さんも見受けられます。これだけ飲めば副作用が出るのは間違いないのは明らかですし、こうした投薬治療が長くなればなるほど、

  • 副作用の苦しさ
  • 薬への依存性
  • 長く飲む事で薬が効かなくなり、更に強い薬が処方される

といった事態になったり、

『薬がないと何もできない。だけど副作用がきつい』

という悪循環に悩まされていきます。

2.自殺や暴力的になる危険性がある抗うつ薬

最近の自殺や暴力的な事件や殺人等のニュースの中で加害者が

「抗うつ薬を服用していた」

というのを耳にした事ありませんか?

これは一部の抗うつ薬や抗不安薬といったうつ病治療に使われる薬で不安感や抑うつ感を抑えられるのと同時に

  • 怒りや恐怖感といった感情が鈍くなる
  • 脳が一時的にパニック状態になったり、他人へ攻撃的になる
  • 自殺願望が強くなる

という副作用が出てしまっているからというのをうつ病治療の専門医達が指摘しています。

抗うつ薬で不安感は抑えられても、こんな副作用があれば発作的・衝動的とはいえ自殺をしてしまったり、他人への暴力や殺傷といった痛ましく、悲しい事件を起こすきっかけとなってしまいます。

抑うつ症状を抑える効果は既に認められているので、うつ病を治すには投薬治療が良いのかもしれませんが、反面こうした危険な副作用やそれが原因と思われる事件も多くなっているのもあって、

『薬を使わないうつ病治療』

を行う心療内科や精神科の医師達が増えてきています。

3.「薬が効かにくい」うつ病もある

もう一つ「薬を使わないうつ病治療」が注目されている理由に

『薬が効かないうつ病』

というのがあります。

皆さんがうつ病として知っているのは、うつ病の中でも主なタイプといわれている「大うつ病」と呼ばれるものなのですが、近年のうつ病では

  • 抑うつ症状が心ではなく頭痛や腹痛といった体に出る「仮面うつ病」
  • 仕事すると抑うつ症状が出て、休日や仕事以外の時は元気といった「非定型うつ病」
  • 抑うつ症状が自分ではなく、相手に対して出る(必要以上に攻撃したり、非難する)「新型うつ病」

といったのがあり、こうした「難治性(治りづらい)」うつ病は抗うつ薬が効きにくいとされています。

また脳や心臓等の病気をして手術をした後に、体に障害が残ったりすると「今までとは違う自分」と対峙したり、リハビリで思うようにいかない事といったのが原因でうつ病になるというケースもかなり多いといわれています。

しかしこうした病気で投薬治療や食生活の改善といったのを行っている時に、うつ病を患ったからといって抗うつ薬や抗不安薬をしようすると、その人の病気の治療に影響が出たり、食生活等の改善が出来なくなる可能性があるので、

「持病(特に脳や心臓)で投薬治療している時のうつ病治療」

というのは通常のうつ病に比べると治療が難しくなってしまいますし、飲み合わせの問題といったのも発生するので、

『うつ病治療の薬を使う難しさ』

というのがあります。この難しさを解消していくのに減薬や薬を使わないうつ病治療というのが、「うつ病の治療の基本は投薬」としていた時よりも注目されるようになってきています。

4.うつ病の減薬は一度に減らすのではない

ところで、抗うつ薬や抗不安薬の減薬というのは

「一度に薬を全て減らす」

というのではありません。そんな事をしてしまうと、それまで服用していた薬の成分が入ってくると体は認識しているので「あれ?入ってこない?どうして?なんで?」といったパニック状態となってしまい、これがうつ病を悪化させる道へ進んでしまう可能性が大いにあります。

また一度に薬を止めてしまうと、

  • 眠気
  • めまい
  • 体のだるさ

といった症状が起こり、これに慣れるまでの間に生活に支障をきたすという場合もあります。だから抗うつ薬等の減薬というのは、患者さんのうつの症状や体調を考慮しながら

  • 同じ薬で容量を変える(例:100mg→50mgに)
  • 効能は同じだけど効き目は弱いものに
  • 数種類処方されているけど効能が重複している場合は1種類だけにする

という方法で、少しずつゆっくり時間をかけて行っていきます。

減薬について仮に患者さんが「減薬したい。」と申し出ても、症状によっては「まだ減薬は出来ません。」という医師の見解もあるので、その時は医師に従って、減薬が出来るように治療を続けましょう。

しかし、中には

  • 薬を減らす=病院の儲けが減る

と考え、「今、薬を減らしたら治りませんよ。」と明確な理由を言わずに怒ったり、強い口調になる医師もいます。そんな時は「薬漬けにされるかも。。。」と考えて、転院するのを考えた方が良いでしょう。

5.注目度が高い薬を使わないうつ病治療法は、この3つ

現在、

  • うつ病を薬を使わないで治療する
  • うつ病の処方薬の減薬に繋がる

と注目されている治療法には次の3つがあります。

①TMS治療法

うつ病治療の中でも最新といわれているのがTMS治療法と呼ばれる磁気を使ったものです。一体どんなものか?というと、基本的な治療は歯医者さんの診察台のようなベッドに横になり、頭に専用のTMS治療機器を付けます。

そしてこの機器から脳へ磁気刺激を与えます。これによって脳の中で意欲ややる気に作用したり、不安や恐怖心を抑える部分の働きを活性化させて、うつ病を治していきます。

うつ病の治療では修正型電気けいれん療法というのもありますが、治療前後に麻酔等の処置が必要だったり、治療後に入院という程ではありませんが数時間安静にしなければならないので、治療を受けるのに半日~1日がかりとなる場合もあります。

これに比べるとTMS治療法は診察台に横になっているだけなので、特に治療前に処置の必要がありません。また1回の治療は30分~40分程で、カウンセリングや問診の時間と合わせても2時間前後で済むのが一般的なので、

「うつ病で休職していた人が復職した時に治療が受けやすい」

というメリットがあるので、うつ病の治療だけでなく「メンタルヘルスケア」としての活用にも関心が寄せられています。

②栄養療法

「うつ病で何で栄養?」

と思うかもしれませんが実は私達の喜怒哀楽という感情は「心」ではなく、脳の神経伝達物質が司っていてお互いが情報をやり取りする事で起こります。主な神経伝達物質には

  • セロトニン・・・安心感、充足感
  • ドーパミン・・・やる気、達成感
  • ギャバ・・・リラックス、落ち着き

といったのがあります。これらの神経伝達物質は私達が食べる事で体内に取り込まれる、たんぱく質・ビタミン・アミノ酸・マグネシウム・鉄といったのが材料となっています。だから栄養が偏った食事やダイエットといったので必要な栄養素が十分に摂取出来ないと、

神経伝達物質が作られない→不安やイライラが増す→抑うつ状態やうつ病に。。。

となっていきます。

栄養療法ではまず問診と血液検査で不足している栄養素を調べます。そして足りない栄養素をサプリメントや食生活を改善といったので補っていきます。サプリメントは薬ではないので副作用がないので、治療が長くなったとしても副作用が出たりというのはありません。

うつ病の初期や何だか最近気分が落ち込みやすいといった「プチうつ」の症状の患者さんだと、栄養療法だけで薬を使わずに治せたというケースが多く、また減薬と並行して治療していくと「薬が減っても落ち着いていられる」効果があるといわれています。

③認知行動療法

この治療を受けたうつ病の患者さんから

「薬を使わなくても、問題なく過ごせるようになった」
「自分でうつ病を治せたという実感がある」

という声が多いのが認知行動療法です。

認知行動療法ではうつ病になりやすい人に多い

  • ~でなければならない
  • 自分はダメな人間だ
  • こうなってしまったのは私のせいだ(自分に非や責任はまったくなくてもそう思ってしまう)

という考え方やストレスの受け止め方を

  • 自分はここまで頑張ったから大丈夫
  • こんな風に考えれば、ストレスを減らせるようになるかも

というように、それまでの考え方から「うつ病にならない、抑うつ症状を起こさせない」考え方に変化させていく治療法です。

認知行動療法で一番用いられるのが、行動や自分がその時に思った感情や様子を日記のように記録していく方法です。この記録を自分が落ち着いている時に見直すと

「あの時、こう思った(感じた)んだ」

というのに気付けるので、

『自分で自分の考え方の癖に気づいて修正していく』

というのが出来るようになります。

認知行動療法は薬が効きづらい新型うつ病や非定形うつ病のような難治性のうつ病にも効果があるといわれているので、減薬と合わせて使われる治療法とされているので、この組み合わせでうつ病の治療を行って、薬を減らす・使わない方向へしていくという形が多く取られています。

まとめ

うつ病の治療というと私も最初は「薬を飲まないと治らない」、「うつ病になったら、一生薬を飲み続けないといけない」と思っていました。けど同時に病は気からというワケではありませんが、

「薬を使わないと、うつ病って本当に治らないのかな?」

と思うようになり、そこから調べてまとめたのがこの記事となりました。

今回ここで紹介した薬を使わないうつ病では効果はあるのですが、現段階では保険適用外なので治療費の問題があったり、行っている医療機関が少ないというデメリットがありますが、これから必要性や治療の効果が認められればデメリットも解消されるでしょう。

それから最後に、どんな治療であってもうつ病の治療は

『早期治療』

が重要なカギとなります。早期治療であればたとえ投薬となったとしても、直ぐに服用しなくても問題ないようになっていきますし、ここで紹介したTMS治療・栄養・認知行動療法の効果も早く出るので、早期回復にも繋がります。

だから「あれ?」と思ったら、迷わずにまずは心療内科や精神科を受診してくださいね。

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