YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

うつ病からのリワークは『体力も必要』 ウォーキングで無理せず体力アップを図るには?

f:id:yskokoro:20150827112234j:plain 『うつ病で休職してからのリワーク(復職)』

となった時、

  • 作業力や集中力がリワーク出来る程あるか
  • 周りの人とのコミュニケーションが上手く取れるか
  • ストレスを感じた時にうつ病にならないように対処できるか

というのが気になるところですが、これらを行う時に実は意外と

『体力』

が必要というのをご存知でしょうか?

薬のみに頼らない最新のうつ病治療法
90日で90.9%のうつ病寛解率!再発率は2.3%!
うつ病治療なら東京日本橋のYSこころのクリニック

うつ病を患っている人は、引き籠り等から体力が落ちている場合が多いので、体力アップをしておかないとリワークが続けられなくなる確率が高くなってきます。

目次

  1. うつ病が回復しても、体力がないとリワークを続けられない可能性が。。。
  2. 体を動かして自然治癒力が上げる事で、うつ病の改善に繋げていく
  3. リワークへの体力作りの為の運動のポイントは『ドーパミン』
  4. まずは歩いてみよう
  5. ウォーキングが出来ない時は「自分を甘やかす練習」と思おう

1.うつ病が回復しても、体力がないとリワークを続けられない可能性が。。。

これはあえて言う事ではないかもしれませんが、うつ病の患者さんは

「うつ病を治そう」
「うつ病を治療して、リワーク出来るようにしよう」

という思考が働きます。そしてそんな思考と本人の努力と治療によって、うつ病がリワーク出来る程に回復し

「やっと、うつ病が治った!さぁ、これからリワークして早く通常勤務に戻るぞ!」

となりますが、果たして

そう簡単にうつ病休職者がリワーク出来るものなのでしょうか?

うつ病の症状には気分の落ち込み、不安感や焦りを常に強く感じるだけでなく

  • 自宅や自室に引き籠る(殆ど動かない)

というのがあり、これはかなり多くの患者さんが経験していると思います。引き籠りがちな生活が続けば、動くのはトイレやお風呂の時といった「必要最低限」となるので、歩くといっても1日で1,000歩いかないでしょう。

また引き籠り以外でも薬の副作用で、急激な眠気があって1日の大半を寝ていたり、起き上がれないほどぐったりしているという場合なら、体力だけでなく筋力も衰えています。

更に過食・拒食といった摂食障害がある場合もバランスよく食事しているワケではありませんから栄養不足に陥っているので、ここからの体力不足も考えられます。

こうしたうつ病の症状からくる動けない・眠れない・食べれないといったので体力が低下しているままで、会社でリワークを行えばとどうなるでしょうか?

まず最初に考えられるのは「リワークの大前提」といえる

「通勤」

が出来ないのが予想されます。うつ病で休職されている方の大半は自宅から会社まで通い、会社から自宅へ帰宅すると思います。この時、特に公共の交通機関を使って通勤しているのであれば

① 自宅から最寄りのバス停や駅まで移動する
② 会社最寄りのバス停や駅から会社に通う
③ 会社最寄りから自宅最寄りまで移動して、自宅へ帰る

という3つのパターンを行う事になります。そしてこの3つのパターンでは電車やバスに乗っている事があっても、そこへ行き着くには

『自分で移動』

しないといけません。

だから、もしも体力不足で「自宅から最寄りまで歩くのが辛い」となってしまったら、通勤自体が不可能となるので、リワークどころではなくなってしまいます。そうなると

『リワークを続けられない可能性』

というのが、より高くなっていきます。

2.体を動かして自然治癒力が上げる事で、うつ病の改善に繋げていく

「自然治癒力」

というのを皆さん耳にした事があると思います。

そう、例えば転んでケガをした時にかさぶたが出来て傷にフタをして治していき、やがて傷のない元の皮膚に戻るという

「私達の体に備わっている、自分で自分を治していく力」

の事です。

今お話したように自然治癒力はケガや病気になった時に多く用いられますが、この力は体だけでなく「脳」にも備わっています。だからうつ病のような心理的な病や抑うつ症状を、脳が完治すると

「あ、いつもと様子が違う。これは治していかないと」

となります。この時に脳に備わっている自然治癒力が正常に作用すればうつ病の改善や回復に効果がありますが、もしもうつ病や

  • 抑うつ症状
  • ストレス
  • トラウマ

といったのがあると、脳の自然治癒力が正常に働くのを妨げてしまいます。

ここで一つ質問させて頂きますが、皆さんの中で

「梅雨時期なんかに2,3日外に出られなかったりすると何となく気が滅入る」

という方いませんか?

これは2,3日外に出られないと

家でダラダラと過ごしてしまう

体を動かさない

段々とだるさや面倒臭さを感じるようになる

やる気がなくなる・気分が落ち込んでくる

抑うつとまではいかなくても「プチうつ」のような状況に

なっているので、

「ずっと家に居ると、気が滅入る」

と感じるようになると考えられています。

ただこれはうつ病じゃない人の1つのケースなので、既にうつ病を患っている人の場合だと、体が症状や薬の副作用で、更に動けない状態が多くなるのでこうした傾向が強くなります。

だからといって、うつ病を患っている人が突然「リワークの為に」にとジムに通ったり、スポーツを始めて体力アップしようとするのは無理がありますし、逆にうつ病の症状の悪化させる危険性も増します。

3.リワークへの体力作りの為の運動のポイントは『ドーパミン』

私達の「嬉しい」、「楽しい」、「悲しい」、「辛い」といった感情は、実は脳の中で神経伝達物質といわれるものが情報をやり取りする事で起こります。この神経伝達物質の中で気分を爽快にしたり、意欲がわくのに作用するのが

『ドーパミン』

です。

うつ病を患っている人が運動をして、ドーパミンが増えると爽快感を感じられる事が多くなります。そう快感を感じられるようになると、不安や焦燥感といったのが薄らぎ達成感や楽しいという気分が増えます。これがうつ病の改善に繋がっていきます。

そしてこれらが味わえるようになると、職場で達成感や楽しさを感じられるようになるのでリワークが続けやすくなります。

ドーパミンを増やしす、そしてリワークに向けての体力アップをする為には

  • 集中して、楽しく出来る
  • 運動中に不安やうつの気分が薄らぐ
  • 運動した後に達成感がある

という3つのポイントを抑えた運動が効果的とされています。では、どんな運動がこの3つのポイントに該当するかのでしょうか?それは水泳やジョギングそしてウォーキングといった

「有酸素運動」

が適しているとされています。

しかし、水泳やジョギングというのは泳ぐのが走るのが苦手といううつ病の方には不向きとなってくるので、この点を考慮すると、一番誰もがリワークへの体力アップとして行いやすいのは

「ウォーキング」

となります。

4.まずは歩いてみよう

うつ病からのリワークの為の体力アップとして、「ウォーキングをしよう」となった時

「よし!今日から毎日1km歩くぞ!」

と、最初から何かを決めて行うのは良くありません。

ナゼかというと、うつ病になる原因の1つに

「○○しなければならないという考え方が強い」

というのがあるからです。この考え方がある人というのは、本来の自分とは違っても

  • こうしないといけない=自分で自分にプレッシャーをかけてしまう

となりがちです。

だから最初は

「うつ病でずっと家から出ていなかったけど、最近体調が良いからちょっと近所を散歩してみようかな」

という感じで

『まずは歩いてみる』

から始めましょう。そして近所をお散歩出来るようになったら、少しずつ歩く距離を伸ばしたり公園のジョギングコースを歩いたりしてみましょう。

5.ウォーキングが出来ない時は「自分を甘やかす練習」と思おう

うつ病の症状というのは一進一退なので

「昨日は調子が悪かったけど、今日は調子が良い」

というのが常です。

だから、もしも調子の悪い時にウォーキングすれば

「今日は昨日よりも歩けなかった」

と落ち込んでしまい、そこから

「本当にリワーク出来るんだろうか?」 「明日はもっと頑張らないと」

となってきます。

こう感じてしまうとウォーキングでリワークへ向けての体力アップは望めなくなりますし、恐らくかなりの高確率でうつ病が悪化するでしょう。

だから、もし今日思ったようにウォーキングが出来なくても

「明日があるから大丈夫」

と考えるようにしてください。

この考え方を「自分を甘やかしている」と感じるかもしれませんが、逆に

「自分を甘やかせられなかったから、うつ病になった」

とすると、こうした甘やかしも必要と思えてきませんか?

うつ病の人の中でも自分に厳しいというか、目次4で話した「○○しなければならない」という考え方が強い人は、こうした自分に対しての甘やかしが出来るようになれば、リワークして例えば

  • 頼まれた事が出来なかった
  • 体調やうつ病の症状が悪くてその日リワーク出社を休んだ

となった時にそのストレスや心の負担を、

「大丈夫。今日出来なくても、明日出来る」

と自分で和らげる事が出来るようになります。

なので、例え今日思うようにウォーキングが出来なかったとしても大丈夫です。それでリワークが出来ないという事はありませんし、そんな時は

「今日は自分を甘やかす練習をしてみよう」

としましょう。

そうすればウォーキングが出来なかったとしても、「自分を甘やかす事が出来た」という達成感やウォーキングとは違う刺激を味わえるかもしれませんよ。となれば、自分を甘やかすというのも貴方の

『リワークに必要なスキル』

となるでしょう。

最後にリワークの為のウォーキングの注意点として、

①薬の副作用などで起き上がるのも辛いといった時は行わないでください。
②最初はプレッシャーになりやすいので万歩計をつけたり、ウォーキング用に靴を新調したりしない

という2つを挙げておきます。

①の場合は起き上がるのも辛いのにウォーキングをしたりすれば、間違いなくうつ病が悪化します。そんな時は運動よりも、まずは症状を改善させるのを優先させてください。そして動いても大丈夫なようになってから、ウォーキングを始めてみましょう。

それからウォーキングを始める時は既にお話していますが「まずは歩いてみよう」が基本なので、

  • 近所を一回り
  • 歩いてすぐのコンビニまで

というような

「ちょっとそこまで」

から始めてくださいね。勿論、シューズは履きなれたいつものシューズで全く問題ありません。

そして②についてですが、万歩計は歩数が出るので達成感は感じやすいです。しかし、

「今日は5,000歩しか歩けなかった。昨日は10,000歩歩けたのに。。。」

と考えやすくなるので、これがリワークを邪魔してくるかもしれません。同じように靴を新調するのも

「せっかく靴を新しく買ったのに、今日はウォーキングが出来なかった」

と落ち込みやすくなるので、これも余りうつ病には良いとはいえません。

だから万歩計をつけたり、ウォーキング用に靴を新調するのは

「週に何日か定期的に歩けるようになってから」

にしましょう。

まとめ

うつ病を患って会社を休職して、職場へリワーク出来るようになったら

「早く前のように仕事が出来るようにならないと」

と、どうしても作業力や集中力の向上に励むかもしれません。作業力や集中力が向上していれば、リワークがスムーズにいくでしょうから、こうした考えは「確かに」と言えるでしょう。

しかしリワークするには「会社に通勤」しなければなりませんし、リワークの内容がデスクワークが中心で動く事が余り少なくても、体力がないと疲れやすくなるので作業力や集中力が切れやすくなってしまいます。

そうなると体調や心身の不良も起こりやすくなるし、作業力や集中力も低下していくので、そこから再度のうつ病や症状の悪化を招いてしまい、また休職となる事も無いとは言い切れません。

「体が資本」という言葉がありますよね?

私は、うつ病からのリワークでも同じように

『リワークでも体が資本』

ではないかと思っています。

だからウォーキングをして体力アップを図るのは、仕事をするリワークとは直接的には関係なくても

『リワークを続けていく』
『リワーク中に作業力や集中力を途切れないようにする』

という意味では「立派なリワーク準備」になると考えています。

薬のみに頼らない最新のうつ病治療法
90日で90.9%のうつ病寛解率!再発率は2.3%!
うつ病治療なら東京日本橋のYSこころのクリニック