『リワークプログラム』というのをご存知でしょうか?リワークというのは「復職」という意味ですが、このプログラムは『うつ病』の人が休職後に、
「心身の負担を少なくして職場復帰出来るように」
と考えられたプログラムです。
それまではうつ病になって休職しリワークすると、本人も会社もどうしていいか分からず進めてしまい、うつ病が悪化して再度の休職や退職を余儀なくされるというケースが多くありました。現在でもうつ病休職者のリワークというのは難しく、1年以上続けられたという人は2割程度となっています。
そんな状況を改善し、
「少しでもうつ病のリワークが成功率が上がったら」
と今から約8年くらい前から、うつ病休職者の復職にポイントをおいて作られるようになったのがこのリワークプログラムです。作られた歴史としてはまだ浅いですが、プログラムを受けた人や利用した企業では
「リワークが思ったよりも上手くいって、継続出来ている」
「うつ病からのリワークを成功させられた」
という意見が多く、プログラムを受けてない人よりも受けた人の方がリワーク率も高く、先程の2割程度から5割程度にまでアップするのだそうです。そんなリワークプログラムとは一体どういったものなのでしょうか?
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目次
- どうして、うつ病患者さんにはリワークプログラムが必要なのか?
- リワークプログラム。利用するなら、医療機関のがおススメ
- 医療機関のリワークプログラム。会社でのリワーク成功率のアップのカギはどこに?
- 会社での慣らし出勤・リハビリ出勤に応用出来るリワークプログラム
- リワークプログラムの様子は休職者同意の下で情報共有を
1.どうして、うつ病患者さんにはリワークプログラムが必要なのか?
リワークプログラムについて説明する前に、一つだけ
『どうして、うつ病患者さんにはリワークプログラムが必要なのか?』
についてお話しさせて下さい。
普通、会社でリワークするケースというと病気やケガで入院治療した後や産後といったのが一般的で、こうした理由でのリワークの場合、うつ病休職者と同じように久々の出勤であっても仕事の勘や会社で仕事をしていた時の生活リズムというのは時が経つと思い出してきますし、段々と慣れてくるものです。
しかし、うつ病を患っている人の場合
「ちゃんとリワーク出来るだろうか?」 「早くリワークを終えて、通常復帰しないと」 「もしリワークに失敗したら、クビになってしまうんじゃないだろうか?」
という不安や焦りが先にきてしまい、これが心にある状態でリワークをしてしまうと数時間の慣らし出勤であっても、ひどい疲労感やストレスを感じてしまいます。また
- 昼夜逆転の生活
- 家に引き籠っている
- 作業力や集中力の低下
といった症状もうつ病にはあるので、これを改善されていないとリワークの継続は更に難しくなります。
このようなうつ病患者さんが休職中に
- ガラッと変わってしまった生活環境
- リワークするにあたっての不安
- リワークに必要な作業力や集中力をアップさせる
2.リワークプログラム。利用するなら、医療機関のがおススメ
さて、いよいよリワークプログラムについてですが現在リワークプログラムは
- 心療内科や精神科といった専門の医療機関、またはこの診療科がある総合病院
- 各都道府県にある地域障害者職業センター
- 精神保健福祉センター
- 民間企業による支援プログラム
- NPO法人
といった所で受けられます。この中で地域職業センターや精神保健福祉センターでは医師等の専門スタッフの有無、うつ病患者の為のリワークプログラムを行っているセンターが少ないといったデメリットがあります。
次に民間企業による支援プログラムは専門機関への紹介や訪問カウンセリングといったサービス内容は充実していますが、その分かなり高額です。NPO法人についても、まだリワークプログラムを行っている所が限られていたり、スタッフや費用についてバラツキがあります。
こんなデメリットを考えると
- 医師等の医療スタッフがいる
- 誰でも参加可能
- 医療費負担は必要だけど、そう高額にならない
というメリットがある
『心療内科や精神科といった専門の医療機関、またはこの診療科がある総合病院』
3.医療機関のリワークプログラム。会社でのリワーク成功率アップのカギはどこに?
目次2の最後で
「リワークプログラムを受けるなら、心療内科や精神科といった専門の医療機関、またはこの診療科がある総合病院が一番おススメ」
と書きましたが、これ、どうしてだと思いますか?その答えとなるのは
『リワークプログラムの内容』
にあります。医療機関によってリワークプログラムの内容には違いがありますが、基本部分は
- 自分の考え方の癖を知り、その癖を改善していく
- リワーク後に感じるストレスへの対処法や心の負担の減らし方を学ぶ
- うつ病についての正しい知識や治療、服薬について学ぶ
- 同じうつ病患者同士でグループセッションのような形で悩みや不安を言い合う
- ロールプレイング形式でのコミュニケーションの取り方の練習
です。この他にパソコン入力等で作業力や集中力をアップしたり、息抜きを楽しさを兼ねた趣味やスポーツを楽しむといったプログラムもあります。
医療機関でのリワークプログラムではこれらの内容を、医師等の医療スタッフが患者さんのうつ病の状態をチェックしながら行うので、患者さんのうつ病の悪化を防ぎながら会社でのリワークを行いやすいようにしてくれます。
そしてリワークプログラムの内容や専門スタッフによる指導・アドバイスといったのがうつ病休職者の不安や悩みの解消される効果があるので、こうした事が会社でのリワーク成功率アップのカギとなっています。
4.会社での慣らし出勤・リハビリ出勤に応用出来るリワークプログラム
目次1~3でうつ病休職者がリワークするのにリワークプログラムが有効的というのは分かって頂けたと思いますが、リワークプログラムの中には会社で行う慣らし出勤やリハビリ出勤といったのに応用出来るリワークプログラムがあります。それは
『2~3時間のデスクワークトレーニング』
です。
慣らし出勤の時間というのはうつ病休職者の症状によって違いはありますが、大抵の場合は2時間前後といったところです。そこでこの2時間という時間を目標値にして集中力や精神力を身につけてもらうのです。
デスクワークの内容としてはデータ入力、パンフレット整理、書類の送付といった「黙々と同じ作業をする仕事」が良いと思います。もしここで集中力が続かなかったり、作業力に疑問を感じるようだったら実際の仕事となるリワークの前にデスクワークトレーニングの期間を長く取ってみましょう。
そうする事でリワークに入った時に集中力や作業力が続かないというのが原因のうつ病休職者の不安やストレス、そしてリワークプログラム担当者の「こんなはずじゃ。。。」というのを防げます。
慣らし出勤を含め、うつ病休職者のリワークに
『焦り、せかし、強要』
は一番してはいけない事です。ですから、ここはじっくり時間をかけて下さい。中には
「まだリワークプログラムまで進んでいないのに」
と思う人もいるかもしれませんが、リワークプログラムをそこそこのしてうつ病を悪化させてしまい再度休職という形となるのと、リワークプログラムをしっかりして行ってから職場へ1年以上継続してリワーク出来るのとどちらが良いと思いますか?
5.リワークプログラムの様子は休職者同意の下で情報共有を
医療機関でうつ病休職者がリワークプログラムを受けたら、その時の様子や評価といったのをうつ病休職者が受けているプログラム担当者と会社側で情報として共有しておくと、うつ病休職者がリワークしている時にトラブルになったり、うつ病再発の可能性を感じられた時に素早く対処出来ます。
ただ医療機関には「守秘義務」というのがありますから、情報共有を行う時には最初にきちんとうつ病休職者の了解を得てからにしましょう。
また情報共有をする時にはメールや評価レポートといった形にすると記録として残しやすいし、「言った・言わない」を防げます。
リワーク時の仕事内容の相談をしてみる
うつ病休職者のリワークについて考えている、悩んでいるという事があったら、一度主治医やリワークプログラムの担当しているスタッフに
「リワークしたら、こんな仕事を任せてみようと思うのですが。。。」
と尋ねてみては如何でしょうか。
というのもリワークOKの許可をしたとはいえ、うつ病休職者の主治医もリワークプログラム担当者も休職者本人が実際に会社でリワークしている内容というのは、本人が言わない限り分かりません。
もし本人が言わないままだと、仮にうつ病が悪化・再発した時にその原因をつかめないので治療や完治が遅くなるという可能性があります。
そこで、うつ病休職者が実際にどんなリワークをするのか相談してみると、もしもうつ病休職者に何かあった時に「あ、悪化した原因はもしかしたら会社でのこのリワーク内容かも」と主治医やリワークプログラム担当者が考えられます。
そうすると早期対応が可能になり再休職したとしても期間が短くて済んだり、改善・回復も見込めますから、うつ病休職者にとっても安心出来ると思います。
「会社の事だから。。。」とするのではなく、そんな時は一度相談してみましょう。その相談で、うつ病休職者のリワークがより良いものとなり、成功率アップも期待出来るでしょう。
まとめ
うつ病からのリワークというのは、患者さん本人の症状や回復具合によってスムーズにいくかどうかというのは違ってきます。この部分を会社で行うとしても、うつ病についての正しい知識がないと間違った方向へ進むでしょう。
そして、うつ病患者さん本人にとってもリワーク出来るまで回復出来たのは嬉しい事ですが、そこからのプレッシャーやリワーク後に感じるストレスの対処法というのを知っていないと、自分で自分のうつ病の悪化を招いてしまう可能性が高くなります。
こうした部分を医師等の専門スタッフの元で行ういわば「プロの目とウデ」で培われたリワークプログラムで、素人判断では危険となる部分を防いでいけるので、会社でのリワーク成功率をアップのカギはここにもあるといえます。
うつ病がリワーク出来るまでに回復したら、直ぐに会社でリワークするのではなくその為の『下準備』として、もし既に会社でリワークしているのであれば再発や悪化の危険性を回避する方法を学ぶ手段としても、リワークプログラムは今後更に必要性が増してくると思います。
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