YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

うつ病休職者のリワークの前に 『うつ病リワークの難しさ』を考えてみませんか?

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うつ病を患っている方で治療の為に会社を休職中という場合、その多くは『リワーク(復職)』を望んでいます。

しかし、うつ病で休職していた人が実際にリワークして1年以上続けられたというのは「2割」あるかないかといわれています。後の8割は、リワークが原因でうつ病を再発・悪化して更に休職となったり、これを繰り返している方です。こうした事実だけでも

『うつ病からのリワークの難しさ』

というのを感じられると思います。

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うつ病で休職によるリワーク者、そしてそれを受け入れる会社も出来れば

「うつ病からのリワークが成功した!」
「うつ病で休職していた社員を、上手くリワークさせられた!」

という結果にしたいものですよ。それには色々な方法がありますが、その前にうつ病リワークの1年以上継続しているのが2割と現実をふまえて、一度

『うつ病からのリワークが、どうして難しいのか?』

というのを考えてみませんか?この点を考えて対策を練れば、「リワークが成功した(させる事ができた)!」というのに結びつくかもしれません。

目次

  1. うつ病からのリワークが難しくさせる3つのワケ
  2. 患者と会社、双方の準備不足
  3. 休職者の無理
  4. 職場での期待やトラウマ

1.うつ病からのリワークを難しくさせる3つのワケ

まず最初は「うつ病からのリワークが難しいのか?」についてです。そのワケについてはリワーク者本人、会社側どちらにもあったり、どちらかにあったりという感じですが、一番多いワケとしては

①休職者本人・職場、双方の準備不足
②休職者の無理
③職場での期待

の3つがあります。うつ病は一度なると『完治』するのは難しく、症状が一進一退なので

「今日調子が良くても、次の日調子が悪い」

という状況になりやすいので、これもリワークがスムーズにいかないワケかもしれません。ではここからは上の3つのワケについて、1つずつ解説していきます。

2.患者・職場、双方の準備不足

多分、皆さんが思っているリワークは病気での入院や出産でといった場合でと思うので、

「最初は会社タイムに慣れなかったり、仕事を思い出すのにちょっと時間がかかったけど、今は全然問題なし!」

といった感じではないでしょうか?ではうつ病の場合はどうか?というと、うつ病からのリワーク者本人と会社の

『リワーク準備』

がきちんとされていないと「全然問題なし!」とはなりません。うつ病からのリワークで『これだけはしておいた方が良いでしょう』というものを調べてみると、

★休職者側

  • リワークする為の生活リズムの改善
  • 出社時間までに会社へ行けるように起床できか。
  • 公共交通機関を使う場合、それに乗って通勤できるか。
  • 夜、次の日の事を考えて影響が出ない時間に寝れるか。
  • リワーク出勤の体力作り
  • リワークするに当たって、自分が出来る事・注意してほしい事の分析 (箇条書き、メモ書きで構わないので書き出しておくと、会社の人事や労務スタッフとの話し合いの時にスムーズに説明出来ます)

★会社側

  • 社内でのリワークプログラムの作成
  • 主治医からの診断書のチェック (必要であれば、主治医に確認。産業医が常駐している場合は、一緒にチェックするのがベター)
  • 社内リワークプログラムの作成
  • ならし出勤、軽減出勤について。
  • リワークする部署を、どこにするか。
  • リワークする部署の上司との仕事内容についての打ち合わせ。
  • 通院、投薬治療の確認 (うつ病からのリワークの場合、通院・投薬治療がきちんと行われていないとリワーク率はガクンと下がりますし、成功する確率も低くなります!)

と、ザッと挙げただけでもこれだけあります。

うつ病からのリワーク希望者そして会社としても「仕事への復帰」というのは嬉しいのは分かります。しかし、こうした準備をしっかりせずに、見切り発車のような形でリワークするとどちらも

「失敗してしまった」

という後味の悪いものになってしまいます。

3.休職者の無理

「うつ病の治療の為に休職をして、やっとリワークが出来るまで回復した。これから頑張るぞ!」これはうつ病休職者がリワークする時に、誰もが思います。しかしこの「思い」はちょっと注意しなければいけません。

「えっ!なんで?!本人が頑張ろうって思っているから、良いんじゃないの?」

と感じるかもしれませんが、元々うつ病になりやすい人の中に

「頑張り過ぎてしまう」

タイプがとても多いのです。そんな人だからうつ病になりやすいともいえるのですが、こういった人はどうしても

「うつ病で休職していた分を取り戻さないと」
「早く普通に仕事が出来るように頑張らないと」

と、慣らし出勤やリハビリ出勤の間で周りが

「そこまでしなくていいよ」
「頑張らなくていいよ」
「焦らないで」

と声をかけても

『いいえ。大丈夫です。』

とオーバーワークしやすくなるのです。これと同じような状況が残業です。残業はいわばオーバーワークとも取れますから、皆さん、残業するといつもより疲れをかんじますよね?

うつ病からのリワーク者の場合は、この疲れの度合いが普通の人よりも強く感じやすく、そこからストレスも強く感じるようになり、これがうつ病の再発や悪化を招いてしまうのです。

うつ病発症そして治療の為の休職と辛い時期を乗り越えて、「働ける!会社へ戻れる!」という気持ちはよく分かります。

しかしリワークを成功させて、そのまま通常出勤までいけるようにするには、うつ病リワーク者の

『無理、焦り、頑張り』

は禁物は勿論であり、会社や家族といった身近にいる人も注意する必要があります。

4.職場での期待やトラウマ

うつ病からのリワークはリワーク者にとっても、会社にとっても嬉しいニュースではありますが、それだけで終わるとは限りません。そうなってしまう理由の1つに

「リワーク者の作業力、やる気のレベルの見極め」

があります。皆さん、リワークというとどことなく

「100%完全復帰」

というイメージがあると思いますが、うつ病の場合はあくまでも

『寛解(かんかい)』

といって、リワーク出来る程に回復してはいるけど、うつ病の症状がまだ20%~30%残っている状態です。だから100%完全復帰か?と問われれば、No.という答えになります。

このリワーク者が寛解であるというのをよく理解できていなくて、ならし出勤の段階でリワーク者の作業力以上の仕事をさせてみたり、

「これから、頑張って!」
「直ぐに通常勤務に戻れそうですね。」

と期待しているような発言をすると、それがリワーク者にとっては心の負担となりますし

「皆、期待している。裏切らないように頑張らないと」
「失敗したら、リワークが注意になるかも。。。」

というプレシャーや不安を感じてしまい、これがせっかく20%~30%くらいに抑えられていた症状を50%、80%と上がっていってしまい、うつ病の再発・悪化や再度の休職を余儀なくされるというケースになっていきます。

「これから、一緒に頑張りましょう!。」と言いたくなるのは分かりますが、そこを

『お帰りなさい。会社に戻ってこれるまで回復出来て、安心しました。』

という一言にしてみてください。何気ない一言かもしれませんが、うつ病からのリワーク者にとっては

「あ、ちゃんと自分を気にかけてくれているんだな。心配してくれているんだな」

という安心感が持てるので、リワークのスタートが良い形で切れる効果が出てきます。

また職場での期待と同じようにリワークを難しくさせているのがリワーク者の

『職場でのトラウマ』

です。 これはうつ病休職者が休職前の職場でリワークする際に、特に起こりやすいのです。

これは例えばの話として、うつ病休職者が休職前にセクハラ・パワハラまがいな事を職場でされて、それが元でうつ病を発症・休職したといった場合、当時の職場の人間が変わっていても場所がそのままなら、どうしても思い出してしまいます。だから、リワーク者にとっては

「直ぐに、うつ病の症状が悪くなる」

と言っても過言ではないでしょう。また仮にSEやクレーム処理部門といった

「ストレスを受けやすい職場」

だと前の職場から違っていても、心の負担が大きくなるのは間違いありませんし、今度はこの職場での出来事がトラウマとなる可能性もあります。 会社の人間として、うつ病休職はのリワーク先をどこにするのか?というのは、当然の事ながら

『会社側の準備の中で一番重要』

といえる事項ではないかと思いますし、これを一番良い形にする為には

  • うつ病からのリワーク者本人
  • 会社の人事、労務スタッフ
  • リワーク者本人の主治医または産業医
  • リワーク先の上司

といったメンバーで『社内リワークチーム』を作り、一つずつじっくり話し合っていくのが「リワーク成功への近道」といえます。ここを省いたり、行き当たりばったり的にリワークを進めれば

  • リワーク者本人が職場で孤立してしまう
  • 相談窓口がない
  • トラブルが起こった時に解決が遅くなる

等が起こるでしょう。そうなるとリワークどころではなくなるし、場合によっては

「会社がうつ病を患った社員のケアを怠った」

と訴えられる可能性も出てきます。

実際そうなったら会社としては勝ち目は低いでしょう。そして、それだけでなく社外的な評判は落ちますし、社内の社員のやる気も下がるでしょう。そうなると退職希望者が次々に。。。なんて事になり、もしかいたら今度はこういうのに携わっていた貴方がうつ病になるかもしれません。

こういった状態に陥らない為にも、うつ病からのリワークの難しさを知り、きちんとした対策や準備が出来るようにしておきたいものですね。

まとめ

普通「うつ病からのリワーク」というと、リワークプログラムについてや社内でのリワークチームの作り方といった内容を考えると思いますが、リワークプログラムやチームがあっても1年以上リワーク出来ている、または通常出勤という最終ステージにまで行けたという人が2割くらいしかいない事を知ってから

『うつ病からのリワークの難しさは、どこにあるのか?』

というのが気になり調べて、今回こんな内容となりました。

調べていく内に、うつ病からのリワークの難しさが分かったのと同時に、リワークプログラムやチームの存在がこれからの会社では必要になってくるのではないか?というのも感じました。

リワーク自体はうつ病休職者の問題というかハードルかもしれませんが、このハードルを会社も一緒に飛んでゴールまで辿り着ければ、それはリワーク者と会社両方にとって大きな喜びや自信になるのではないでしょうか。]

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