YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

磁気の刺激で脳を活性化させて、薬を使わずにうつ病を治していく 最新治療『TMS治療法』とは?

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今から2~3年ほど前、あるうつ病治療法がアメリカから日本に導入されました。その名は

『TMS治療法』。

日本語でもう少し分かりやすい言い方にすると

『うつ磁気刺激治療法』

といいます。TMS治療法には

  • 薬を使わない
  • 副作用がない
  • 治療中の痛みがない

というメリットがあるのですが、まだ導入されたばかりで「最新」とも言えるうつ病治療法なので、どういう風に治療するか?費用は?治療期間は?というのはよく知られていないのが現状となっています。

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うつ病治療法の中では一番新しく、薬を使わない治療というので注目されているTMS治療法について、基本的な部分をちょっと調べてみました。

目次

  1. うつ病の原因は何だろう?
  2. 磁気の刺激で脳の動きを活性化
  3. 実際のTMS治療法について
  4. TMS治療法の効果は?
  5. TMS治療法、日本での注意点

1.うつ病の原因は何だろう?

TMS治療法の基本の前に、皆さんに1つ質問があります。

「うつ病の原因って何だと思いますか?」

うつ病の原因というのは患者さん1人、1人違うので全てにおいて「これです。」というのはないのですが、大きな理由としては

  • 重度のストレス
  • うつ病患者自身の考え方によるもの
  • 遺伝

の3つがあります。

1つずつ紹介していくと、まず重度のストレスといったのは先程の仕事や人間関係といったので、うつ病発症の原因の中では一番多いといわれています。人が原因となるパワハラやセクハラといったのもここに当てはまります。

次のうつ病患者自身の考え方ですが、皆さんや皆さんの周りに

① ○○しないといけない、すべきだ
② 私がこんなに頑張っているのに、あの人がいるから私がきちんと評価されない

という考え方をしている人いませんか?

①の考え方は「うつ病になりやすいタイプNo.1」といえるもので、この「○○しないといけない、すべきだ」というのが強すぎる為、本当の自分では「したくない、やりたくない」と感じているのをフタをして見えなくしてしまいます。

そうする事で①の考え方を実行は出来ますが、本当の自分とのひずみが大きくなってしまい、それが心の負担やストレスとして積み重なり、うつ病へとなっていきます。

そして②の考え方ですが、これ

「えっ!?これ、うつ病になるの?単なるわがままじゃないの?」

と思うでしょう。実はこれも「新型うつ病」と呼ばれているうつ病の一つの特徴で、②の考え方から他人を必要以上に攻撃したり、非難してしまうという私達の知っているうつ病とは少し違ったタイプのうつ病です。よく知られているうつ病は

「自分が悪い、ダメなヤツ」

と自分に症状が出るのですが、新型うつ病の場合は他人への攻撃や非難といったのが症状となるので場合によっては「トラブルメーカー」と見られたり、周りから孤立していく場合もあります。

最後の遺伝については脳が原因の病というのは、遺伝しやすいと言われています。ここで

「え?けど、うつ病って心の病じゃないの?」

と思うかもしれませんが、実はうつ病は感情を司っている脳や人間の喜怒哀楽に深く関わっている神経伝達物質に原因があると考えられています。そしてこれらの原因を治療して治していくのに効果があると言われているのが、これからお話する

『TMS治療法』

なのです。

2.磁気の刺激で脳の動きを活性化

嬉しい、怒り、悲しい、楽しい。こうした人の感情といったのは「心が作っているもの」とされてきましたが、うつ病患者を治療している医師や研究者によってそれは心ではなく脳、その中でも前頭前野という部分にある

「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」

が大きく関わっているというのが分かってきました。

背外側前頭前野はその人の判断・意欲・興味といったのを司っていてここの働きが弱まると、やる気や興味がなくなってきます。そしてもう一つ、背外側前頭前野にはその下にある「扁桃体(へんとうたい)」のバランスを整える働きがあります。

背外側前頭前野の働きが弱まり、扁桃体のバランスが崩れると不安・自己嫌悪・恐怖感というのを強く感じるようになります。

TMS治療法で背外側前頭前野に磁気の刺激を与えて、判断力や意欲が正常に作用するのと同時に、扁桃体のバランスを整え不安や恐怖感を抑えていく事で、うつ病を治療していきます。

3.実際のTMS治療法について

TMS治療法が磁気による脳への刺激治療というのが分かったところで、実際どういう風に治療していくか?というのを紹介します。

日本でのTMS治療法の場合はベッドタイプの専用機器を使って行うのが多いです。ベッドといっても診察台のようなものではなく、歯医者さんの治療台が一番似ている形です。ここに寝そべるような感じで横たわり、磁気刺激を送る専用機器を頭につけて、治療スタートとなります。

1回の治療時間はうつ病患者の症状や体調によって異なりますが、約40分ほどです。同じような治療法の電気けいれん療法と違って施術の前後に麻酔をしたり、めまいのような副作用といったのはTMS治療法にはないので

「磁気って、電気みたいなものでしょ?痛くない?」

と思っている方は安心してください。

既に治療法として認知されているアメリカの場合だとTMS治療を受けている時に、頭を強く動かしたりしなければ医師や看護婦と話をしたり、読書やDVDを見てもOKらしいので

「磁気・電気による治療=怖い」

というのではない治療法といえます。

4.TMS治療法の効果は?

次にTMS治療法の効果についてですが、例えばTMS治療法を約6週間受けたとしたら治療開始前のうつ病の状態が10だとしたら、6週間で2ぐらいにまで改善出来ると言われています。

2ぐらいといえば「ほぼ完治」といえる状況ですから、もしもうつ病で休職中の人なら「リハビリ出勤」が考えられるようになってくるでしょう。日本でのTMS治療法では通院が主なので、

「会社を退職・休職せずに、うつ病治療が出来る」

という可能性もあります。

この他にうつ病で投薬治療していた患者さんがTMS治療法を行うと、脳に直接磁気の刺激を与えて意欲や判断力のアップ、自己嫌悪や恐怖感を抑えられるので

「薬を使わなくても、抑うつ感・不安・焦りといったの減少出来る」

ので

『うつ病の治療薬を減らせる』
『薬を使わずに、うつ病を治せる』

というのも効果として期待がもてます。

5.TMS治療法、日本での注意点

TMS治療法を日本で受ける場合の注意点をここで少しお話していきます。まず日本に導入はされていますが、まだTMS治療専門で行っているクリニックや病院というのは数としては圧倒的に少ないのですが、脳卒中や脳溢血といった脳疾患患者さんの

「脳のリハビリ」

として行っている医療機関と合わせると少し数は多くなります。しかし、それでも全国で10施設ほどなので もし治療を希望するのであれば、自分が治療に通える範囲にあるかどうかを最初にチェックしましょう。

それからこれは他のうつ病治療法と同じ事なのですが、TMS治療法も治療を受ける患者さんのうつの状態や体調によっては

「劇的に効果があった!」
「余り効果を感じられなかった」

という個人差がありますので、始めから「これで絶対治る!」と考えるのは避けましょう。

最後に一番の注意点といえるのが「治療費」です。TMS治療法は現在日本では

『保険適用外』

の扱いとなっています。だから

『治療費がかなり高額』

となります。金額的なのもについては治療回数にもよりますが「100万円程かかる」と思っていいでしょう。100万円程の治療で効果があれば良いですが、もし効果を感じられないといった場合は「治らなかった」という思いから今のうつ病を悪化させる可能性もありますので、

  • 既にうつ病治療を受けている人は主治医によく相談する
  • うつ病治療を受けていなくてTMS治療法を考えているなら、まず専門医の治療を受けてから

にしてください。

うつ病治療を受けていなくて、いきなりTMS治療法を始めても効果があるか?というのは分かりませんし、貴方のうつ病の症状によっては投薬治療や認知行動療法といった別のうつ病治療の方が回復する可能性があるからです。

もちろんTMS治療法を行っている医療機関にも精神科医や心理カウンセラーといった人はいますので、まずこういった人達に

  • 自分のうつ病の症状
  • その症状がいつからか
  • 他の医療機関で治療をしているか
  • 現在治療中の場合、投薬治療を行っているか
  • 投薬治療を行っている場合、服用している薬や処方について(お薬手帳があると便利です)

というのを決してオーバーにせず、そして隠さずに話しましょう。そうする事でより効果的なTMS治療法を受けられるので、思っていたよりも早くうつ病を改善・回復出来る可能性が見えてきます。

まとめ

うつ病の治療となると

「薬を使わないと治らない」

というイメージがありますが、抗うつ剤や抗不安薬のようなうつ病治療薬は眠気、頭痛、吐き気といった副作用があります。また

「飲み続けないといけない」

という常用性もあります。普通の場合でも危険だなと感じますが、これが高齢者や妊娠中または授乳中の人そして持病があって他に薬を常用しているといった人だと更に危険度は増すでしょう。

TMS治療法は薬を使わないから、副作用や常用性の危険性がありません。だから、専門医が「OK。」と言えばだれでも治療が受けられるといえます。今はまだ保険適用外ですが、今後もし保険適用内となればうつ病が治ったという人が増えるでしょうし、通院で治療が受けられるのであれば

「会社でのメンタルヘルスケアの一つ」

となるかもしれません。そうなれば会社でのうつ病社員を減らせたり、もしうつ病を患った社員が出来たとしてもリワークプログラムを作る時に、かなり役立つでしょう。

今は「最新」となっていますが、これが保険適用内となり全国各地でTMS治療法が受けられるようになればTMS治療法は「うつ病の定番治療法」になるかもしれないですし、うつ病患者数も現在よりもグッと減らせるのではないかと思います。

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