『自己肯定感』
という言葉を、ご存知でしょうか?
自己肯定感は高過ぎると自意識過剰、低過ぎるといつも自分に自信がない、自分はダメ人間なんだと思い込んでしまいます。そしてこの思い込みがひどくなると、どちらの場合も
「うつ病」
になる危険性があるといわれています。
目次
- 自己肯定感って何?
- 自己肯定感が低い人の考え方
- 自己肯定感が高い人の考え方
- 自己肯定感は低くても、高くても「うつ病」になる可能性があります。
- 自己肯定感に高い・低いが出来る原因
- 大人になってからの自己肯定感の高い・低いを改善するには?
1.自己肯定感って何?
まず最初に、自己肯定感についてお話していきます。自己肯定感というのは
- 自分は誰かに認められている
- 自分は誰かに必要とされている
といった『自分を肯定している気持ちや感覚』の事です。子供の場合なら、
- 自分は愛されている
というのも自己肯定感といえるでしょう。
他人からではなく、「自己」という言葉が示すように
『自分で自分を認める事』
これが自己肯定感なのです。
2.自己肯定感が低い人の考え方
自己肯定感は高くても、低くてもうつ病になる危険性があります。そこでまずは
「自己肯定感が低いと、なぜうつ病になりやすいか?」
についてから、お話します。
自己肯定感が低いと
- 自分はダメな人間なんだ
- 自分は周りから必要とされていないんだ
という気持ちが常に心に存在します。
この気持ちが少しの場合でも「はぁ~」とため息が出そうなくらいのマイナス的な心境となるのに、これが常にあるとされる自己肯定感の低い人の場合は
- ふさぎ込む
- 何をしても楽しくない
- 食欲や睡眠が十分に出来ない
等の抑うつ症状といえるものが表れてきます。そして、ここから更に
- もっと頑張らないと!
- ○○しないといけない(するべきだ)。 というプレッシャーを自分にかけるようになります。
だから必要以上に仕事を頑張ったり、頼まれた事を全て引き受けてしまうという状況に陥ります。
この時、やり遂げた仕事や頼まれた事というのは、頼んだ相手や第三者からすれば納得のいく成果、または「ありがとう。すごいね。」と言われる内容だったとしても
- 本当にそう思っているのだろうか?
- あそこは○○すべきではなかったのだろうか?
- 自分は、まだまだだ。
と思ってしまうのが、自己肯定感の低い人の特徴と言える考え方です。
『自分に自信が持てない』
『自分はダメな人間だから、もっと頑張らないと』
『周りが自分の事をどう思っているか、とても気になる』
こうした思いが自己肯定感の低い人の心の中には渦巻いているというか留まっていいるので、これを放っておけば
「うつ病を発症へ」
という道を辿る事になってしまいます。
3.自己肯定感が高い人の考え方
自己肯定感が低いと自分に自信がないと感じるのであれば、逆に自己肯定感が高い場合はどうなのでしょうか?
自己肯定感が高いと少し言い方は悪いかもしれませんが
『自分はエライ!』
『私はこんなに頑張っているんだから、評価されて当然』
という気持ちが強いです。
だから、例えばそんなに難しい仕事でなくても本人が
「私はこれだけ頑張った!」
と思っているのに、上司や周りの評価が低いと
「私がこんなに頑張ったのに、それだけの評価しかしないなんて、貴方達が間違ってる(悪い)!」
考えてしまいます。こんな人を目の当たりにすると
「それって自意識過剰だよね」
「単なるわがままじゃない」
と思うかもしれません。
しかし、そんな言動をしてしまうのは自意識過剰や性格というよりも「自己肯定感が高い」事で生じてしまっている
『物事の捉え方のズレ』
と言えるかもしれません。
4.自己肯定感は低くても、高くても「うつ病」になる可能性があります。
目次2と3で自己肯定感の低い人、高い人の代表的な考え方について簡単に説明しましたが、自己肯定感は低くても、高くても「うつ病」になる可能性はかなり高いです。
これについては、常に自分に自信がなかったり、周りの反応が気になり過ぎる傾向があるという自己肯定感の低い人なら、「そうだよね」と分かりやすいと思います。
しかし、自己肯定感が高くてうつ病になるというのは「どうしてだろう?」となるでしょう。
自己肯定感が高い人は
「認められたい」
強い思いがあります。この強い思いが
叶えられない=認めてもらえない
となると、認めなかった相手を必要以上に非難したり、攻撃するようになります。こうした思いや言動というのは
『新型うつ病』
といわれるうつ病の特徴の1つとなっているので、もしも貴方の周りに「わがままだ」、「トラブルメーカーだ」と思われている人がいたら、それはもしかすると新型うつ病の症状によるものかもしれません。
こうした点をふまえると、自己肯定感は
『低くもなく、高くもなく』
というバランスが大切といえます。
5.自己肯定感に高い・低いが出来る原因
次に
「自己肯定感に高い・低いが出来るのはナゼか?」
というのを探っていきたいと思います。
自己肯定感を最初に感じるのは子供の頃の
「親や家族に褒めてもらいたい」
「話を聞いてほしい、相手して欲しい」
といった気持ちと考えられています。
そんな気持ちを持っている子供に
「わぁ~、よく出来たね。」
「えらいね。」
「そうだったんだね。」
と声をかければ子供は満足し、この満足が後の自己肯定感となっていきます。
しかし、もしも
「今、忙しいから話は後にして。」
「疲れてるから、遊ぶのはまた今度ね。」
「そんなの、皆出来るよ。」
と声をかけててしまうと、例え幼稚園くらいの幼い子供であっても
「自分は認められていないんだ」
「好かれていないんだ」
「自分は悪い子なんだ」
と思うようになり、小さな心に「なかなか癒えない傷」が出来ます。
対して
「ママが全部してあげる。」
「貴方はやらなくていいの。」
「貴方は悪くない。」
等の過保護・過干渉と言える態度を取れば、子供は
「自分がしなくても、誰かがしてくれる」
「自分はこれだけしてればいい」
「自分は悪くない」
と思うようになり、こちらは後々の新型うつ病になる可能性がある物事の捉え方になっていく可能性が大きく成ります。
少し前から「毒親」という言葉を聞くようになりましたが、この毒親の存在も子供の自己肯定感には大きく関わっているといわれています。
それはもしも毒親が
- 育児放棄、虐待タイプであれば自己肯定感が低い子に
- 過保護、過干渉タイプであれば時効肯定感が高い子に
なってしまうからです。
小学校低学年くらいまでのお子さんがいるご家庭だと、お子さんからの
「見て!」
「聞いて!」
というのは日常茶飯事だとは思いますし、「ちょっと待ってね。」、「後でね。」とつい言ってしまいがちですよね。
けど、その見て・聞いてに付き合う事が自己肯定感を作っていくとしたら、直ぐに「ちょっと待ってね」、「後でね」と言うのではなく、
- ほんの少しでも手を止めて見て聞いてあげる
- 「作業はしているけど、ちゃんと聞いているからね。」と声をかける
等をして、
『子供の自己肯定感が育っていけるようにする』
のは、学校の勉強や習い事といったのも子供の成長には大切かもしれませんが、
「自分をきちんと受け止められるか?」
というのに大きく左右してくるかもしれません。そしてこれが、うつ病になるのと関係しているのであれば、子供の頃の自己肯定感というのは、実は結構重要なのかもしれません。
6.大人になってからの自己肯定感の高い・低いを改善するには?
自己肯定感の高い・低いというのは、子供の頃はそういった自覚はないので「性格」と思ってきたかもしれません。
しかし、そこから成長して色々な人と接したり、会社に入って周りの人と関わるようになるとそうした思いから「ちょっと違うかも」と感じたり、周りから誤解を持たれてしまうなんていう事を経験するかもしれません。
そして中には、自己肯定感の高い・低いそして物事の捉え方といったのが原因で抑うつ症状やうつ病招いてしまう結果となってしまったというケースも、最近ではかなり多いといわれています。
子供の頃からの「自分はこうなんだ」という物事の捉え方や自己肯定感を、大人になってから改善するのは、一筋縄ではいかないほど難しいものです。
しかし、策がないというわけではありません。これは改善策としての一例として紹介しますが、
もしも自己肯定感が低くて「自分はダメな人間なんだ」と思うタイプなら、まず
『自分で自分をイジメるのを止めましょう』
自己肯定感が低い人は決してそんな事はないのに「ダメな人間」、「無能な人間」と決めつけ、そこから「もっと頑張らないと」と自分で自分をイジメる傾向があります。だから、まず
『私はこれだけ頑張れたから、ダメな人間じゃない』
『私は頼まれた仕事を、きちんと出来た』
と頑張れた事や出来た事を考えるようにして、自分で自分をイジメたり「こうじゃないと!」と縛り付けないようにしていきましょう。
次に「私は悪くない!悪いのは周り」と思いがちな自己肯定感が高い人は、
『自分の考えを冷静に見直せる時間』
を作ってください。
自己肯定感が高い人だけではなく、何か出来事が起こった時に怒りや憤りを感じるのはその出来事が一瞬であっても、強くとらわれてしまうからいう場合が多いとされています。だから「あの人が悪い!」と思う前に、一度深呼吸をしたり、その場から離れてみて
「あの人の言った事も一理あるな」
と冷静に捉えられると、そうした感情は少しずつ薄くなってきます。
ただ、そういった出来事は1日1つとは限りませんから、メモに書き留めたり、携帯のメールやカレンダーに入れたりして、後で見直せるようにするというのも効果的です。
どちらも最初はなかなか効果が出ないかもしれませんし、失敗を繰り返すかもしれません。
けど明らめずに続けていく事で、物事の捉え方を改善して自己肯定感のバランスを整えられるようになってきます。
そういう風になれたら、抑うつ症状やうつ病を患わずに済むかもしれません。
まとめ
「自己肯定感のある子供になるように家庭で接してください。」
これは子供が通っている幼稚園で園長先生がお話をされる時に、よく言われている一言です。そして、この一言が、今回の記事を書くきっかけになりました。
自己肯定感というのを最初に聞いた時は、何となく「子供の成長する過程で良い事なんだな」という認識だったのですが、うつ病について調べると
「うつ病になりやすい人」
というのを必ずと言っていいほど目にするようになり、この中で特に考え方や物事の捉え方が原因となっている人は、自己肯定感の高い・低いが関わっている事が多いというのが分かりました。
子供の自己肯定感は親や家族が大きく左右するので「周りの大人の責任」と言えるかもしれませんが、大人の場合は「自分で何とかしていかないと」となります。そんな時にここで
「自己肯定感とはなんぞや?」
「自己肯定感のバランスを整えるには?」
というのがちょっと分かって頂けたら幸いです。