YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

うつ病はうつ病だけど、一般的な大うつ病とは ちょっと違ういタイプの『非定型うつ病』の話

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「うつ病」という病の名前を聞くと、恐らく皆さんがイメージするのは

  • 気分の落ち込み
  • 眠れない、食べれない

といったものではないでしょうか?このタイプのうつ病は「うつ病の主たるタイプ」という意味で

「大うつ病」

というのだそうです。

この大うつ病の他にも、新型うつ病、仮面うつ病、季節性うつ病のようにうつ病にもいくつかの種類があるのですが、その中でも

  • 一見、うつ病に見えない
  • 通常のうつ病とは全く違う症状が出る

という特徴があり、この為にうつ病の発見が遅れたり、周りから誤解されるケースも見られるのが、これからお話していく

『非定型うつ病』

です。

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1.『非定型』うつ病が「否定」じゃないワケ

ここで普通「ひてい」という言葉を聞くと、皆さんの頭の中に思い浮かぶのは

「否定」

ではないかと思いますし、うつ病になる原因の1つに「私が全部悪い」、「私はダメな人間なんだ」と自分を否定するような考え方があるので、

「非定型うつ病って、字が違うんじゃないの?否定じゃないの?」

と感じる人がいるかもしれません。しかし、非定型うつ病のひていは『非定』で間違いありません。

非定型うつ病は、最初にお話したうつ病の主たるタイプの大うつ病の症状とは違って

  • 過食や過眠
  • 好きな事は出来るけど、苦手や嫌だと感じる事が出来ない

等の症状があり、これらが

「大うつ病のような典型的な症状ではないうつ病=定まった肩に非ず」

という意味で

『非定型うつ病』

となっているのです。

2.非定型うつ病が増えた背景

次に非定型うつ病が増えてきた背景について考えていきたいと思います。

非定型うつ病の患者さんが増えてきた原因として考えられるのは、下のようなものがあります。

①親の子供への接し方

今時の子供は毎日習い事に行っていたり、幼稚園からお受験をするお子さんはかなり多いと思いますが、ここで見られるのが「親の過保護や過干渉」そして

「私が出来なかった事を子供に」

という親である自分の夢を子供に託すといったパターンです。このような接し方をすると、子供は大人と同じように強いストレスを感じます。また

「親の望む通りにしないと」

というプレッシャーのような気持ちが強くなり、自分の感情を表に出せなくなり不安・恐怖・辛さといったのだけが、心に残されてしまいます。

そして過干渉・過保護だけではなく、逆の放任主義も「見捨てられている」という思いを抱えてしまい、これが心に大きな負荷をかけてしまいます。

どちらの親の接し方でも子供は「親に怒られないように」という思いが働きますし、無意識に親の様子を伺ったり、常に良い子でいようと自分を抑え込んでしまうので、大人になってから非定型うつ病になりやすい傾向があるといわれています。

②残業や雇用不安などの社会的要素

今から約20年余り前の「超氷河期」と言われていた就職難に比べると、今少し状況は良いそうなのですがそれでも未だに就職難や正規雇用の割合の低さというのは続いています。

就職難や非正規雇用という扱いであれば「この先、社員になれるだろうか?」、「早く就職先をみつけないと」という思いが常にあり、これが強迫的な思いや劣等感を生み、非定型うつ病の発症に繋がっていきます。

こうした状況はうつ病のメジャーなタイプな大うつ病と同じです。しかし、大うつ病と違うのは非定型うつ病の場合、限界すれすれの時点で

「もうこれ以上は無理です」

と意思表示をする事です。だから、限界以上に頑張って心も体も疲労困憊となっている大うつ病とは違って見た目的には「そうひどくないだろう」と思われがちですし、本人も「まだ大丈夫だろう」と侮ってしまうので、

「医療機関を受診したら、大丈夫ではなかった」

という状況に陥ってしまうというのが、非定型うつ病の患者さんには多く見られるそうです。

③うつ病に対する認知度

この③の「うつ病に対する認知度」が非定型うつ病を増やす背景になっているというのは、少し意外と感じるのではないでしょうか?

今ほど、まだうつ病が一般的ではなかった頃、うつ病になると「口外しない」というのが常でした。しかし、今はうつ病についての認知度が上がった事や、会社のうつ病に対するケアや休職といったのが整備されつつあるので、

「私はうつ病です。」

と公表できるようになりました。

認知度の高さや会社でのうつ病についての姿勢というのだけを考えると

「うつ病を患っている人にとっては良い事」

となるかもしれませんが、非定型うつ病の患者さんの中には一部ですが

「私はうつ病です。」

と会社に申し入れて、休職制度を利用したり、部署の異動を希望を行ったりします。こういった事をしていくと、非定型うつ病の症状の一つである

『好きな事は出来て(して)、嫌いな事は出来ない(しない)』

を助長させてしまうので、非定型うつ病の患者を増やしてしまう結果になっているのです。

3.恋愛問題から、非定型うつ病へ

うつ病になる原因は大うつ病であっても、非定型うつ病であっても様々なのですが、非定型うつ病の患者さんの中で割と多い発症原因に

『恋愛問題』

があるといわれています。

「恋の悩みで?!」と驚く方もいるかもしれませんが、非定型うつ病の患者さんには

  • 人にどう見られているか
  • 他人の一言を、非常に気にする

という人が多いので、恋人から言われた何気ない一言がずっと心に残ってしまい

「別れようって言われたらどうしよう?」
「きっと私の事が嫌いだから、あんな事を言うんだわ」

と思うようになり、ここから非定型うつ病へとなるケースも少なくないそうです。

中年と言えるくらいの大人になれば、こんな恋愛問題も解決策や対処法を持ち合わせていたりしますが、若い人の場合だとそこまでの経験値が少ないので、対処しきれずに心にストレスを抱え非定型うつ病を引き起こすきっかけとなってしまいます。

こうした経験値が少なさから、非定型うつ病は比較的若い男女の患者が多いといわれています。

4.自分が非定型うつ病になっていないかをチェックするには?

非定型うつ病は症状が、私達が知っているまたはイメージ出来るうつ病(大うつ病)とはタイプが違うので、初期の段階では気づきにくいうつ病です。

そこで簡易的ではありますが次の7つのポイントを気にしてみると、自分が非定型うつ病になっていないかをチェックできます。

★自分が非定型うつ病になっていないかをチェックする7つのポイント

  • 周りからのちょっとした一言で、ひどく動揺したり、傷ついたりする
  • 感情のコントロールが出来ない(突然、泣いたりする)
  • 自分の好きな事や楽しいと感じる事は出来るが、嫌だ・辛いと感じる事は出来ない
  • 自分を責めるよりも、他人を責めてしまいがち
  • 朝~お昼くらいまでは調子が良いけど、夕方から夜にかけて調子が悪い
  • 過眠や過食があったり、昼間に強い眠気を感じる
  • 性格としては几帳面、生真面目な方だ

この7つのポイントの中で当てはまるのが1つ、2つであれば非定型うつ病になりつつある、もしくはなりやすいというレベルですが、3つ以上ある場合は要注意といえますし、

「ほぼすべて当てはまる」、「すべて当てはまる」

というのであれば、非定型うつ病に既になっている可能性が高いので、早急に心療内科や精神科を受診する必要があります。

5.非定型うつ病には「認知行動療法」が効果的

うつ病の治療というと不安や抑うつ症状を抑える為の投薬治療が基本とされていますが、物事の捉え方やストレスの受け止め方といったのが原因となっている非定型うつ病は

「治療薬が効きづらい」

といわれています。ただだからといって、非定型うつ病が治らないというものではありません。非定型うつ病の場合、患者さんの物事の捉え方にちょっとしたクセやズレがあって、これがこの病を引き起こしているので、ここが改善されると回復が早く完治もしやすいそうです。

そんな非定型うつ病の患者さんの捉え方や意識そしてストレスを受けた時の対処法といったのを、治療という形で行っていくのが

『認知行動療法』

です。

認知行動療法では、例えば日記のようにその日あった出来事やストレスを受けた場面をいったのを記録して、それと合わせて

  • ストレスの度合い
  • その時取った言動
  • その時どう感じたか

というのも書いておきます。そしてこうした記録を基に、

「この時こう思ったようですが、こんな考え方もありそうですね。」

と物事の捉え方の選択肢を増やしていきます。こうする事で少しずつではありますが、「あ、こういう考え方もあるんだな」と患者さんが感じられるようになり、これが非定型うつ病を治していくのに繋がっていきます。

実際に非定型うつ病の治療では、投薬治療と認知行動療法の2種類の治療を行うのは多く、通常の投薬治療飲みに比べると、改善や回復が早いそうです。

6.非定型うつ病は励ましてもOK(但し、むやみやたらには×)

「うつ病に励ましはNG」というのは、うつ病についてそう詳しくない方でもご存知だとは思いますが、非定型うつ病に関しては励ましてもOKですし、

「言うべきことは言う」

という姿勢で大丈夫です。うつ病の場合は抑うつ症状が自分の心の中に表れるのに対して、非定型うつ病はどちらかといえば

「私は、うつ病だから」

と自分を甘やかしがちたので、時には励ましが必要となる時もあります。

しかし「それなら」とむやみやたらに応援すると返って逆効果になってしまいます。この辺りの加減というのは、同じ非定型うつ病でも症状が様々なので最初は様子見として、徐々に励ましていけば大丈夫です。

そして非定型うつ病で仕事を休職となると、これも患者さんによっては会社への連絡等を家族にして欲しいという事があります。そんな時は

「もう大人なんだから、きちんと自分で会社へ連絡してね。」
「リワーク(職場復帰)の練習だと思えば大丈夫よ。」

と声をかけて、

『言うべきことは言う』

という感じで接してください。その方が非定型うつ病を改善への手助けとなります。

非定型うつ病は「症状が大うつ病とは大分違う」ものですが、認知行動療法の効果が高ければ投薬治療を行わなくても治す事は可能ですし、励ましも場合によってはOKです。こうした治療や声かけ等についてのちょっとした違いも

『非定型』

といえるのかもしれませんね。

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