『双極性障害』
という病名だと「知らない。」と答える方が多いかもしれませんが、
「躁うつ病」
とすると、「あ、知ってる。」という方は多いのではないでしょうか?
現在、双極性障害と呼ばれている躁うつ病はその中に「うつ病」という名前がついていたので、以前はうつ病の一種と思われていました。しかし、実は
『双極性障害(躁うつ病)は、うつ病ではありません』
とはいっても「何が違うの?」という疑問や双極性障害かもしれないという症状については、うつ病よりもまだ知られていない事が多くありますので、今日はこの双極性障害にスポットをあててみました。
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目次
1.双極性障害って、どんな病?
まず最初に
「双極性障害とは、どんな病か?」
から、始めていきます。
双極性障害はその「双極」という名が示すように、気分が落ち込む「うつ」の状態と高揚してハイテンションのような状態になる「躁」の状態が症状として起こる病です。
うつの状態の時は気分が落ち込んで「何もしたくない」という風になるのに対し、躁の状態になると「えっ!?」と周りが驚くような行動を取ったりします。だから、
『まるで違う人に見える』
『同じ人に思えない』
となるのが、双極性障害の大きな特徴といえます。
それから双極性障害には「Ⅰ型」と「Ⅱ型」というタイプがあるのですが、入院する必要があるくらいの高い重症度があるのがⅠ型、入院する必要はなく通院治療で治療が出来るのをⅡ型といいます。こういう風にⅠ型、Ⅱ型を説明すると、
「じゃあ、Ⅱ型の方が軽いんだ」
と思うかもしれませんが、Ⅱ型の場合は
「適切な治療を行っていないとⅠ型になる危険性が高い」
といえます。
そして、Ⅰ型はⅠ型で
「日常生活を送れないほど重症」
なので、どちらも分かった段階で治療を行わないとⅡ型からⅠ型になったり、Ⅰ型の状態が悪化し自殺という悲しい結果を引き起こしてしまう危険性があります。
2.双極性障害の「躁」状態について
双極性障害のうつ状態はうつ病と同じ症状なのですが、「躁」状態の時は患者さんにはどういう風な症状が出ているのでしょうか?双極性障害での躁状態には
- 誇大妄想(自分は偉いのだ)が出る
- 長時間延々と話す
- 睡眠をとらない、または極端に短い睡眠でも十分寝たと感じる
- 気分が大きくなり、高い買い物をし続けたり、ギャンブルをするようになる
- ちょっとした事で激しく怒る
といったのが挙げられます。
こうした躁状態の時は実はうつ状態の時よりも、周りと人とのトラブルや問題行動が起こりやすく、中には社会的信用を失ったり、離婚、借金問題といったのに発展する事も少なくありません。
ところで、この双極性障害での躁状態は「ハイテンションになる」という事で、
- 気分が高揚している時
- 楽しい事をしている時
等になるというイメージがあるかもしれませんが、実はそういったプラス的な時よりも
- 残業が続いている(仕事がハード)
- 睡眠不足
- 身近な人や自分がよく知っている人の死
というようなうつ病の原因と共通しているマイナス的な時に多く起こるとされています。ですから、決して双極性障害の人が躁状態となっている場合、「楽しいから、気分が良いから」というのではなく
『うつ病と同じような原因で辛いから』
というのを覚えておいた方がいいかもしれません。
3.双極性障害に、抗うつ薬は効きづらい
双極性障害は少し前までの名前が「躁うつ病」でしたので、今でも「うつ病の一つ」と思っている方は多いでしょう。だから
「治療薬を使うなら、抗うつ薬等のうつ病治療の薬を使う」
と考えられます。しかし、
『双極性障害に、抗うつ薬は効きづらい』
です。
これはなぜかというと、うつ病の場合は気分の落ち込みやふさぎがちになるという抑うつ症状のみで躁状態が出るという事はありません。だから抗うつ薬や抗不安薬といったので症状を和らげる事ができます。
しかし、双極性障害の場合は抑うつ症状だけでなく『躁状態』があり、この時に抗うつ薬を飲んでも効果が余りないそうです。また抗うつ薬を服用している事で、躁状態とうつ状態の転換がアップダウンするように繰り返し起こる時があります。
これを
「躁転(そうてん)」
というのですが、抗うつ薬の服用しているとこの躁転が起こりやすくなるので、双極性障害の患者さんに抗うつ薬を使っても、
[効果はさほど高くない=双極性障害に、抗うつ薬は効きづらい]
という目次3のタイトルになるのです。
ただ、双極性障害の患者さんに全く抗うつ薬を使用しないというわけではありません。
4.双極性障害の基本的な治療法とは
目次3の最後に
「双極性障害の患者さんに全く抗うつ薬を使用しないというわけではありません」
と記しましたが、では双極性障害の基本的な治療法にはどんなのがあるのでしょうか?
双極性障害、うつ病、気分変調症といった精神疾患は「気分障害」という一つの大きなくくりにまとめられています。この気分障害の場合、まず抑うつ症状を引き起こしている気分を和らげる・抑えるという治療になりますので、投薬治療が一つのベースとなります。
そして投薬治療ではうつ病の場合だと抗うつ薬や抗不安薬といった薬が処方されますが、双極性障害の場合は、まずうつ状態よりも
『躁状態の改善と予防』
が回復・完治へのポイントになりますので、抗うつ薬等よりも『気分安定薬』を使うのが双極性障害での投薬治療の中心となります。そして、医師が慎重に判断して必要とした場合に、躁転を起こしにくい抗うつ薬を処方します。
更に投薬治療以外にも、電磁波の刺激を直接脳に送って抑うつ症状を起こしにくくし、双極性障害を治していく電気療法や、自分がどんな時に躁状態・うつ状態なるかを知り、「物事の捉え方を修正していく」事で改善していく『行動認知療法』と合わせて、双極性障害の治療を行ったりもします。
5.実はうつ病よりも高い双極性障害での自殺率
ここで皆さんには、まだ余り知られていない
『双極性障害での自殺率』
について、少しご紹介します。
うつ病を患っての自殺者というのは、今でも時々ニュースや新聞で報道されますが、実は
『双極性障害での自殺率は、うつ病患者よりも高い』
といわれています。
この双極性障害の自殺率の高さの背景に
- 躁状態の時に自分が引き起こしたトラブル
- 躁転が激しくて、気分の高揚と落ち込みが頻繁にある
- 双極性障害の長期化
等があります。
うつ病を患っている患者さん方や他の気分障害を患っている患者さん方も、病の辛さというのには変わりはありません。
ただ、双極性障害の場合は、
『うつ状態と躁状態』
という「全く正反対な状態」が交互に起こります。そうなると病の辛さもですが、周りとのトラブルや
「自分が分からない」
という不安も高くなり、こうした辛さや不安から自殺してしまうのだそうです。
双極性障害の場合、最初からこの病だと診断されるよりかは、
「うつ病 → 双極性障害」
と診断される事の方が多いそうです。これは双極性障害の患者さんが、専門医を尋ねる時は抑うつ症状の時だからというのが理由の1つであり、医師としても「判断が難しい病」となっています。
病名が覆るというのは、患者としては不安な面がありますが、それだけ
「双極性障害と、うつ病は似て非なる」
といえるのかもしれません。
ただ「おかしいな」と感じるのであれば、その時点で出来るだけ早めに心療内科や精神科といった専門の医療機関を受診しておかないと、
「双極性障害なのか?うつ病なのか?」
というのは分かりませんし、適切な治療をしなければどちらの病も完治どころか改善もしないでしょうから、まずは「早めの受診」を心がけるのが、双極性障害に早く気づけるで
「改善・完治への突破口」
となるといえるでしょう。
まとめ
「躁うつ病」という病名の為に、うつ病の一種だという認識の方が高い『双極性障害』。
しかし、実際は『うつ病とは全く別物』な病です。医師でもうつ病との見極めが難しい双極性障害を、私達が「双極性障害では。。。」とするのは更に難しいものではありますが、中には
- うつ病だと不眠な事が多いのに、過眠といえるくらい寝ている
- すごくよく喋る(長時間、ひたすらしゃべり続ける)
- 夜中の電話や高額な買い物をしたりする(常識的には考えられない言動をとる)
という症状がみられるうつ病患者の方がいるかもしれません。
もし上記のような言動が見られる場合は、双極性障害の可能性が高いといえるので、
「うつ病って言ってたけど、何だか違うような。。。」
と思った時に
『双極性障害を考える上でのチェックポイント』
にしておくと、私達でも双極性障害に気づく事が出来るのではないかなと思います。
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