YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

職場環境を整えて、従業員をうつ病や職場不適応症から守るには

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最近よく聞く「ブラック企業」やパワハラ・セクハラといったのは、働いている方やされた方にとっては、かなりのストレスとなるので、

『うつ病になりやすい』

といえるのは、皆さんもご存知だと思います。

しかし、ブラック企業ではなくて、社内でパワハラやセクハラといったのが見受けられないような会社でも、

『職場環境』

が整ってないと、

  • 残業が増える
  • 休みが思うように取れない

という分かりやすい悪環境だけでなく、

『従業員をうつ病にしていく環境』

となっていくでしょう。

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しかし自分の会社の事は分かっても、他の会社の内部事情が分かるという事は、まずないでしょうから、ご自分が働いている会社が「うつ病になりやすい職場環境か?」というのは見えてきません。

うつ病になった原因が会社にある場合、上司や仕事の多さといった直接的なものに目がいきますが、職場環境にあるというのはまだ意外と知られていないかも知れません。

目次

  1. 貴方の職場環境、こういうのだったら「うつ病」になる可能性大!
  2. 職場環境からのうつ病から『職場不適応症』になる人も。。。
  3. 「うちにはいないから、大丈夫」と考えるのは危ういです。
  4. うつ病にさせない職場環境を整えるには?
  5. 企業でのメンタルヘルスケアが義務付けられる、その前に。

1.貴方の職場、こういうのだったら「うつ病」になる可能性大!

まず最初に、

「うつ病になりやすい職場環境がどんなものか?」

を知る為に、下の項目をチェックしてみてください。

①普段の仕事量が既に多いのに、更に新規の仕事を任される。
②新規の仕事を任された時に、その仕事についての説明やミーティングが殆どない。
③仕事でミスをした時に、上司が皆の前で叱責する。
④会議が行われた時に話し合うというよりも、社長や専務が決めた意見を発表するだけとなっている。
⑤残業・休日出勤が多く、休みが取れない
⑥基礎研修が終わったばかりの新入社員に直ぐに担当を持たせ、そこでミスをすると責任を取らせる。
⑦会社の就業規則がない。またはきちんとしたものではない。

如何でしょうか?

他にも色々あるのですが、その中で誰もが自分でチェックしやすい7つを選んでみました。

この7つのポイントの中で、残業については

「労働安全衛生法で定められている、時間外・休日労働の最大80時間」

を目安に判断してみてください。

この目安でもし80時間以下であっても50時間や70時間というように80時間に近いのであれば、チェックに当てはまらなくても、うつ病になる危険性としては「黄信号」といえるので、業務の見直しをする必要があるといえます。

普段、会社の就業規則というのは普段余り目にしないと思うので、

「どれが整ってないとなるんだろう?」

と疑問に感じるかもしれませんが、就業規則全てを見ようとするのではなく、まずは残業や休暇についての部分と、うつ病になった時に大きく関係してくる

  • 休職制度
  • 休職精度を利用した場合の給与面

等がどうなっているかを確認してみてください。

そこで、もしこうした部分が整っていなかったり、ざっくりとしたものなら、もしも貴方がうつ病を患った時に、きちんとした対応をされずに

「働けないなら、辞めてください」

となる可能性は大いにあるといえます。

2.うつ病から『職場不適応症』になる人も。。。

皆さん。

『職場不適応症』

という病気を、ご存知でしょうか?

職場不適応症は、うつ病等の心の病が原因で

  • 仕事に行こうと家を出るとパニック障害のようになる
  • 仕事中に吐き気や息苦しさを感じる

という症状が起こる適応障害の1つで、今、会社が原因でのうつ病の患者さんの中には職場不適応症になっている人が多いそうです。

ここで「うつ病と職場不適応症の関係」ですが、会社が原因のうつ病の場合、

  • 仕事量の多さ
  • セクハラやパワハラ
  • 上司、同僚、部下の関係
  • 移動での新たな人間関係作り
  • 昇進による周りからの期待やプレッシャー
  • クレーム処理やノルマといったストレスのかかる仕事

といったのがうつ病になるきっかけとなるのですが、どれも

『職場環境』

といえるものになっています。ですから、

うつ病になってしまうような職場環境=職場不適応症になる危険性がある職場環境

となってきます。

職場不適応症になってしまうタイプには、例えば

  • 社会人なりたての新入社員(自分が描いていた仕事の理想と現実の違い)
  • 職場の人との意見の相違から「自分が我慢している」場合(特に上司との間で)
  • 仕事量が非常に多い人(早朝から深夜まで勤務している。休日出勤が当たり前等)

なのですが、こういった人というのは「うつ病になってしまう人」のタイプととても似通っています。

こうした状況を考えると、うつ病と職場不適応症はもしかすると

『切っても切れない関係』

といえるのではないでしょうか。

3.「うちにはいないから、大丈夫」と考えるのは危ういです。

今回のうつ病や職場う不適応症にならない職場環境づくりというのは、今現在うつ病などの病を患っているまたはそんな様子の従業員がいない場合

「じゃあ、我が社は大丈夫」

と感じるかもしれません。しかし、その考えは危ういといえます。

それはなぜかというと、日本では大分うつ病についての認知度は現在高くなりましたが、

「私、うつ病なんです。」

と言う人は休職する必要があるほど重症な場合でないといません。

という事は、

  • 実は、うつ病だけど会社を退職させられるかもしれないから言わずに我慢している。
  • 本人が気づいていないだけで、既にうつ病や抑うつ症状になっている。

可能性があり、それはもしかすると貴方の職場にいる人であり、隣の席の人かもしれません。

本人が気づいていないのは止むを得ない場合もありますが、うつ病だと分かっているのに会社に報告せずに我慢しているというのは、

「うつ病である事を報告して、きちんと休職できる、治療できる職場環境ではない」

といえるので、そうなると職場環境に問題があるのは一目瞭然となるでしょう。だから

「うちは大丈夫」

とタカをくくるのではなく

『うつ病や抑うつ症状になっている社員が、もしかしたらいるのでは?』

と考えて、

  • 従業員を、うつ病に代表されるような心の病にさせない
  • 心の病を患った時に、きちんと対応できる職場環境や会社

であった方が賢明となってくるでしょう。

4.うつ病にさせない職場環境を整えるには?

ここで、うつ病や職場不適応症から従業員を守る為の職場環境を整えるには、どうしたら良いのでしょう?

まず手始めにするのであれば、

「就業規則の見直し」

からが始めやすいかもしれません。就業規則というのは学生時代の「校則」と同じですから、『会社』というのであれば、殆どあると思います。

就業規則というのは一般的には、

  • 勤務態度について
  • 休暇取得、休職、復職について
  • 退職について

といったものです。こうした就業規則は決して間違っているというのはありませんが、

『うつ病等の精神疾患を患った場合について』

があるという会社は今はまだ少ないといえますし、多くの会社ではまだこの項目がない方が多いでしょう。

そこで、就業規則に

『うつ病になった場合』

を追加して、従業員がうつ病になった時に備えましょう。

この就業規則の見直しというのは、一見「うつ病にならない職場環境づくり」には直接的には関係ないように思えるかもしれませんが、就業規則に追加する事によって

  • 社員がうつ病になった時や、うつ病や抑うつ症状を感じた時に報告や相談が出来る

ので、これは即ち

『社員がうつ病にならない職場環境づくり』

に繋がっていく事となるでしょう。

5.企業でのメンタルヘルスケアが義務付けられる、その前に。

この記事を読んでいる方の中には既にご存知かもしれませんが、

うつ病患者が推定で300~500万人といわれている中で、今から5年程前に国は

『従業員が企業でうつ病やメンタルヘルスケアを受けられる割合を100%に』

という指針を発表しました。企業には既に制定されている労働安全衛生法で、従業員の心身の安全の確保や配慮というのが義務付けられていますが、これは

『従業員のうつ病や心的要因におる病の対策やケア』

に特化しているといえます。この指針発表以後、国はうつ病やメンタルヘルスケア対策や強化を推進しています。

更に従来は時間を要していたり、認定されづらいといわれていた

『精神疾患による労災』

についても、新たな基準を策定したり、内容を分かりやすくさせました。これによって今後は

「うつ病になったのには、会社に原因がある」

と労災や会社の責任を訴えるというケースが増えてくるのが予想されますし、こうなってから

「直ぐに職場環境や会社のあり方を見直さないと!」

となっても、時すでに遅しといえますし、職場環境の見直しや改善といったのは直ぐに出来るというものではありません。

だとしたら、

『義務化になる、その前に』

従業員をうつ病から守る職場環境づくりに取りかかるのがベターといえます。

まとめ

会社が原因でのうつ病の場合、多くは人間関係や仕事の多さといった『職場環境』が直結しているといえます。

従業員がうつ病になりやすい職場環境を放っておけば、間違いなくうつ病、抑うつ症状となるでしょうし、そこから今回紹介した「職場不適応症」を患ったりします。

うつ病や心因性もくしくは精神的な疾患というのは、治療にかなりの時間を要するのが常ですし、時には休職を余儀なくされる場合もあります。そして、もし休職となればその人の仕事を周りの職場の人がカバーする事になりますから、新たなうつ病従業員を作ったり、職場環境の悪化をを招いてしまいます。

こうした事情を改善したい、そして社員をうつ病から守りたいというのであれば、そして会社でのうつ病対策が義務化されるのであれば、今から職場環境を見直や改善は「遅過ぎる」とはならないと思います。

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