心身的なストレスからなってしまう『うつ病』。現在その患者数は200万人とも300万人それ以上ともいわれています。そして、うつ病予備軍の人については恐らく集計は取れないほど多いでしょう。そんなうつ病患者さんの中には、治療の為に会社を休職している人もいます。そんな人から
「復職したいんですけど。。。」
と連絡があった時、どうしたらいいのでしょう?
「はい、どうぞ。」と直ぐに休職前の仕事や職場に復帰させていいのでしょうか?
また会社として、
- うつ病休職者の復職に必要となる社内リワークチームを作るにはどうしたらいいか?
- リワークについての話し合いはどういう風に行ったらいいのでしょうか?
ここではそんな「社内リワークチーム作りの基本から、うつ病休職者との話し合いまで」というのについて紹介しています。
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目次
- うつ病休職者から連絡があったら
- リワークチームの作り方
- うつ病社内リワークチームに医師の存在は必要不可欠
- 社内リワークチームでの話し合いで必要な物1
- 社内リワークチームでの話し合いで『あったら、便利な』物2
- 社内リワークチームでの話し合いでのポイント
- 話し合いで緊張感を出さない為に。。。
- 直ぐに社内リワークチームを作れるように。。。
1.うつ病休職者から連絡があったら
うつ病を患い会社を休職をして治療をしていた人が、主治医から「もう、職場に復帰しても大丈夫ですよ。」と言われたら、休職者から会社へ
「復職したいのですが。。。」
という連絡が会社の人事や総務といった部署へあるでしょう。この時、
「分かりました。」
と直ぐに仕事開始日を伝えて、「じゃあ、よろしくお願いします。」では休職者が復職した時にトラブルが発生したり、きちんとしたリワークへのサポートがなかった為に『再度の休職』となる可能性大ですし、こうなると「会社としての責任問題」にも発展していきます。
そこで、もしうつ病休職者から復職希望の連絡があったら、いきなり仕事をさせるのではなく、まず
『社内リワークチーム』
を作り、休職者がリワークした時のバックアップをサポート出来るようにしましょう。
2.リワークチームの作り方
会社内でのリワークチーム、果たしてどうやって作ったらいいのでしょうか?
まずチームのメインとなるのは
・休職者本人
です。次に
・人事、労務の担当者
といった人が基本のメンバーとなります。ここで大きな企業であれば社内に「産業医」が在籍してるでしょうから、リワーク中の心身チェックをしてもらう為にチームに加わってもらいます。
もし産業医がいない場合は、うつ病で休職している人を治療している主治医に入ってもらうようにすると良いでしょう。
以上が社内リワークチームの基本メンバーとなります。
3.うつ病社内リワークチームに医師の存在は必要不可欠
2の社内リワークチームの基本メンバーに「医師」が含まれていますが、ここで
「え?会社の事なのに医師が必要なの?」
と思う人もいるのではないでしょうか? 答えは、Yesです。
社内のリワークチームであっても、産業医または主治医にリワークチームに入ってもらうのは、必要不可欠です。
それは、どうしてか?というと、うつ病からの復職というのは決して
「うつ病が完治した」
ではないからです。これはうつ病休職者の復職にあたって、社内で誤解されやすいの事なのですが、うつ病から復職をしている人は、
『復職できる程度まで回復した』
のであって、投薬治療やカウンセリングといったのがまだ必要としているのが殆どなので、いわば「現在進行中」といえます。また、うつ病の症状というのは、日によって症状というのはマチマチなので良い時もあれば悪い時もあります。
こうした状況を考慮して、産業医や主治医による「リワーク後のうつ症状のチェック」が必要で、この時の医師によるうつ症状チェックは、リワークチームにとって
『今、行っているサポートが適切か?』
というのを判断する時に、一つの指標となります。だから社内のリワークチームであっても、医師の存在は必要不可欠なのです。
4.社内リワークチームでの話し合いで必要な物1
基本メンバーによる社内リワークチームが出来たら直ぐに復職ではなく、これからのリワークについての話し合いをしましょう。ただ、いきなり話し合いをするというのは
「復職するにあたっての注意点」
がよく把握出来なかったり、勤務時間や日数を決める判断材料となるものがありません。そこで話し合いの前に、休職者に
「主治医の診断書」
を用意してもらいましょう。主治医からの診断書があれば、これを基に勤務体制や仕事量そして通院日数がどのくらい必要か?というのが分かるので、うつ病休職者にあったリワークプログラムを作成する事が出来ます。
この医師の診断書については、復職の連絡があった時に用意してもらうように休職者に伝えておいて、話し合いの時に持参してもらうか、前もって送ってもらうようにしておきます。
それから、もしも休職者が医療機関などで行われているリワークプログラムに参加しているのであれば、そちらの評価表というのがあると、社内でのリワークプログラムを作る時に参考になるので、こちらも可能であれば用意してもらいましょう。
5.社内リワークチームでの話し合いで『あったら、便利な』物2
ここで、もう一つ社内リワークチームでの話し合いでもう一つ『あったら、便利な』物に、休職者本人による
「私の復職にあたって、お願いしたい事メモ」
があります。
「それ主治医からの診断書でいいんじゃない?」
と思うかもしれませんが、このメモにはうつ病休職者が復職する時に
- 復職するにあたっての注意して欲しい事
- 仕事内容について(こういった仕事が出来る、出来ない)
- 勤務時間や日数について
- 通院や投薬について
というのを「本人に」書いてもらうのです。
ポイントが分かれば話し合いで確認しながら内容と詰めていけるので、詳しく書いてもらう必要はありませんし、メモ書きや箇条書きで大丈夫です。
うつ病休職者本人は話し合いの前そして話し合いの場で、自分の考えを整理しながら話せます。そして人事や労務の担当者としては、診断書だけでは気づきにくい本人の希望や現状を知る事が出来るので、双方にとって有益なアイテムになります。
ただ、これはあくまでも『あったら、便利な』物なので、決して休職者に「作ってください」と頼むような事はしないで下さい。頼んでしまうと、「作らなきゃ」という余計なプレッシャーが休職者にかかってしまうので、返ってよくありません。
6.社内リワークチームでの話し合いでのポイント
社内リワークチームで準備が整ったら、いよいよ話し合いとなりますがこの時ポイントを挙げるとするなら
①仕事内容での制限
②復職時の勤務対応
③復職先(前職が新しい職場か)
④仕事の量
⑤通院などについて
の5つがあります。1つずつ順を追って説明すると、①の仕事内容の制限というのは例えば
- 残業や夜勤がある職場なら夜勤対応が出来るか?
- 出張が可能か?
というのから、前職が高所や危険作業を伴ったり、クレーム対応といった職場なら、そういったの仕事が可能かどうか?というのについても話し合います。
次に②ですが殆どのうつ病からの復職の場合、いきなりフルタイムで勤務というのは復職するまで回復したうつ病を悪化そして再度の休職へと繋がってしまうので、
- 時短勤務やフレックスタイムでの出勤
- 勤務日数について
いう形からリワークが始まっていきます。
最近の会社ではフレックスタイムを導入している所が多いですが、もしフレックスタイムが導入されていないなら、
『これからのうつ病休職者の対策』
としてリワークチーム内でフレックスタイム導入について検討そして会社のトップに交渉して、実際に導入していくというのも対策としては良い選択だと思います。
③の復職後の職場については、休職者のうつ病の回復状況や前職場がストレスがかかりやすい部署だったりすると、これもうつ病悪化の危険性やリワーク自体が上手くいかないという状況に陥ります。もし休職者の職場がそういう部署であった場合は、前職場での復帰ではなく
「新しい職場での復職」
というのを視野に入れて話し合いを進め、そうなった場合は新しい職場での上司をリワークチームのメンバーに加えて、新職場でも出来るだけスムーズに復職が出来るように、一緒に話し合いに参加してもらいましょう。
④の仕事量については、うつ病を患うとその症状の一つといえるのに
- 集中力や作業力の低下
というのがあります。これも、うつ病休職者のリワークについて勘違いされやすいポイントといえるのですが、うつ病が完治したワケではない休職者にとって、復職だけでもかなりの決心と勇気を要しているのに、
「前職と同じ仕事量をこなす」
というのは無理があります。
そこで社内リワークチームで仕事量を話し合う時には、仕事量の調節も含めて比較的負担の少ない仕事から段階的に仕事量を増やしていくというステッププランを考えていきます。
そして、ここでもし「前職場で復帰させるのは。。。」という不安があるなら、人事や労務といった社内リワークチームのメンバーが在籍している、または近くにいて直ぐに対応できる職場で『ならし勤務』から始めてみるという案も視野に入れましょう。
最後の⑤では
- 仕事以外の部分で注意してほしい点
- 通院や投薬治療について
の話し合いをメインテーマにします。通院や投薬治療がしっかり出来ないのは、リワーク後の症状悪化や復職後の職場でのトラブルにも繋がるので、この部分はリワーク後もしっかり続けられるように対応して下さい。
そして、復職後の職場の社員にうつ病休職者への理解と協力をしてもらう事を忘れずに「フォローの一環」として行ってください。このフォローが無くて、いきなり
「じゃあ、お願いしますね。」
となっても、復職先の職場としてはどう対処していいか分かりませんし、周りの妙な偏見や誤解を生じやすくなり、これはうつ病休職者にとっては「再発・悪化の素」にしかなりません。そうなると、リワークも上手くいかなるなるでしょう。
①と②のポイントについては、先程の社内リワークチーム基本メンバーだけで話し合っても問題ないと思いますが、③・④・⑤については前職場や新職場となるならそちらの上司にも参加してもらった方が、より休職者にあった復職プログラムを作りやすくなると思います。
そうすると、うつ病休職者の「リワークしやすい職場環境作り」にも役立ってくるのではないでしょうか。
7.話し合いで緊張感を出さない為に。。。
人事や労務に勤めていて「うつ病休職者から、復職の連絡をもらった方」に、ちょっとしたアドバイスをさせて下さい。今回の
「うつ病で休職してからの復職」
というデリケートな問題について社内リワークチームを急ごしらえでも作って、いざ話し合いとなった時に復職者本人もですが、社内リワークチームメンバーも不慣れな面があるので、どうしても
「しっかりサポートしていかないと」
という思いが強くなってしまい、そこからの話し合いとなるとかなりの緊張感に包まれるでしょう。
そこでそんな緊張感を出さないようにする為に、休職者が話し合いの場に来たら
「よくいらっしゃいました。」 「電車やバスは大丈夫でしたか?。」
と、まず一声かけてあげて下さい。
この一声、リワークの話し合いには何ら関係ないかもしれませんが、うつ病で休職していた人にとっては
「会社へ復職の連絡をする」 「会社へ行く」
というのはかなりの勇気が必要となる行為です。
だから、それを労う一言があると話し合いの主役ともいえる休職者の緊張を解す事が出来ます。双方どちらかの緊張が解れれば、リワークついての話し合いの場での緊張感は和らぎますから、お互い話しやすくなります。
また話し合いの席では、人事や労務担当者も「休職者への質問メモ」を作っておくと
「あれも聞かないと、これも確認しておかないと」
というのを防げます。このメモは休職者から復職希望の連絡があって、主治医の診断書といった資料が手元に揃ったら、それを参考にすると作りやすいし、
「聞かなきゃ!」
というプレッシャーからも解放されます。
8.直ぐに社内リワークチームを作れるように。。。
「うつ病なんて、ウチの社員にはいないよ。だから社内リワークチームなんて必要ないよ」
というのは、うつ病患者が増える一方の現在では、会社としての「過信」や「驕り」とも感じられる考え方といえます。
そんな風に考えるよりも、
「いつ、そんな社員が出ても慌てないように」 「うつ病休職者が出た時に、退職させずにリワーク出来るように」
と、人事や労務といった部署の方は日頃から
「うつ病についての正しい知識」 「社内でリワークチームやリワークプログラムを作るには何が必要か?」
というのについて情報収集しておくと、基本知識が少しでも頭に入ってますから今でなくても
「社内リワークチームを作ろう!」
と思った時に、直ぐに行動を起こせます。
『直ぐに社内リワークチームを作れるように』しておくのは、うつ病休職者の復職をスムーズに出来るか否か?の最初の関門ともいえるので、これからの人事や労務といった所ではこうした備えが必要になってくるのではないかと感じています。
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