ストレスなどが原因で発症してしまううつ病。ちょっとしたきっかけで
「誰もがなってしまう」
病で、老若男女を問いません。うつ病になりやすい人には産後、身近な人を亡くしたといった要因の他に
- 社会人
- 働き盛りと言われている人
- 仕事をバリバリとこなしている人
という人達がいます。もしかしたら、皆さんが働いている会社の中や同じ職場で
- うつ病を患っている
- うつ病で休職している
という方いませんか?そしてそういった方々がいらっしゃる会社の人事や労務担当で
「うつ病になっている社員へ何かしてあげられる事はないだろうか?」
「うつ病で休職した後の復職を成功させる何か良い方法はないだろうか?」
と思っている方いませんか?そんな方に知って頂きたいのが
『リワークプログラム』
という復職支援です。うつ病休職者がリワーク(復職)する前あるいはしながら、このプログラムに参加してもらうと、その後の職場でのリワークが成功しやすい効果があるといわれています。
そんなうつ病休職者の復職支援策として「大きな期待が持てる」。だけど、まだ余り知られていないリワークプログラムについてまとめました。
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目次
- リワークプログラムって何?
- どうしてリワークプログラムを受けた方が良いのか?
- リワークプログラムは、どこで受けられる?
- リワークプログラムを、うつ病休職者が受けやすくする為に。。。
- リワークプログラムの状況を施設と共有して、これからの復職の流れを決める参考に。
- これからの会社に必要なうつ病やメンタルヘルスの対策とは?
1.リワークプログラムって何?
まず最初にリワークプログラムとは何かというのから、お話します。
リワークは「Return to work」の略で直訳すれば「職場に戻る」=復職です。
出産後や病気療養後の復職というのは、職場や仕事に慣れるのに多少の時間はかかりますが、その後は割とスムーズです。しかし、一言でうつ病といっても
「作業力や集中力の低下」(多くのうつ病で起こる症状)
「仕事が出来る時と、出来ない時の差が激しい(双極傷害の場合)
「他人に攻撃的となりトラブルとなる」(新型うつ病の場合)
とその症状は十人十色と言えます。そしてうつ病で休職している人の多くは、家で引きこもりがちとなるので
- 電車やバスに乗れない → 通勤が苦痛、出来ない
- 他人と接する機会が減る → 上手なコミュニケーションの取り方が分からなくなる
- 抑うつの症状は良くなったけど。。。 → 自分の考え方の癖やストレスを感じた時の対処の仕方ってどうしたらいいんだろう?
というようなのが復職前の問題といえます。
こうしたうつ病特有の症状を考慮しつつも、うつ病休職者本人には
『会社でリワークする前の準備ステップ』
会社としては
『会社でリワークする際の出勤についてや仕事量を決める参考』
2.どうしてリワークプログラムを受けた方が良いのか?
次に「どうしてリワークプログラムを受けた方が良いのか?」というのを考えていきましょう。会社をうつ病治療の為に休職していた人が、主治医から
「もう復職しても大丈夫ですよ。」
といわれた時に、会社へ「復職したいのですが。。。」と連絡があります。この時の連絡というのは、人事や労務担当者あてですが、気をつけて欲しいのが主治医が復職を許可したのは決して
「うつ病が完治した」
というのではなく
『復職が出来るくらいまでに、うつ病の症状が良くなった』
という点です。この状態を「寛解(かんかい)」と言うのですが、寛解は100%良くなったというのではありません。仕事が出来るくらいに回復したという段階にあるだけで、まだ治療の必要がある状態です。
寛解となり、会社にリワークした時の一番の問題点は
うつ病の症状の悪化や再発
です。これを防ぎつつ、復職を成功させていくにはリワークプログラムを受けて
- 作業力や集中力の向上
- 集団での生活に慣れる
- ストレスや心に負担を感じた時の上手な受け止め方を学ぶ
といったのが必要なのですが、これを復職をしながら得るというのは難しいでしょう。
リワークプログラムを受けるメリットは、うつ病で休職している本人だと上記で挙げたようなものがありますが、会社としては
「復職をしても大丈夫かという判断がしやすくなる」
です。この他に
- リワークをするにあたっての勤務時間や日数
- リワーク中の作業をどういったものにしたらいいか?
というのが決めやすくなりますし、産業医や主治医といった立場の人だと
- リワークする際に注意(配慮)したらいいか?
- 症状が悪化していないか?
等のチェックがしやすくなります。
こうしたポイントをふまえると、
- うつ病休職者本人
- 会社
- 主治医や産業医
といった「リワークをしたい人」、「リワークをサポートする役目の人」どちらにもメリットがあるので、
『リワークプログラムを受けた方が良い』
3.リワークプログラムは、どこで受けられる?
会社に本格的に復職する前にリワークプログラムを受ける、または受けながら復職した方が成功しやすいというのが分かったら、次はリワークプログラムを受けられる場所についてです。リワークプログラムを受けられる主な場所は
- 精神科、心療内科の専門または総合病院
- 住んでいる地域の地域障害センターや精神保健福祉センター
があります。どれも
- うつ病についての正しい知識を得たり、自分のうつ病の状態を客観的に知る
- グループ活動で集団に慣れる
- パソコン入力などで作業力や集中力の向上
- 自分のうつ病になりやすい考え方を知り、改善させていく
- 上手な自己表現の方法を学ぶ
といった基本的なプログラムは同じですが、違いとしては
精神科、心療内科の専門または総合病院
①医師や看護師といった医療スタッフがいる
②プログラムに通えれば、誰でも参加可能
③医療費の負担が必要
住んでいる地域の地域障害センターや精神保健福祉センター・地域障害センター
①医療スタッフがいない
②参加するのにうつ病患者本人・主治医・雇用主の合意が必要
③利用料は無料
精神保健福祉センター
①医師や看護師といった医療スタッフがいる
②プログラムに通えれば、誰でも参加可能
③医療費の負担が必要
というのがあります。また医師や看護師といった医療スタッフがいる病院や精神保健福祉センターのリワークプログラムを
『うつ病治療の一環』
として行いますが、地域障害センターでは
『職業訓練』
として位置づけなので少し意味合いが違っているのと、医療スタッフではなく専門のカウンセラーがリワークプログラムを行うという点や
- 地域障害センター → ほぼ全てのセンターでリワークプログラムをしている
- 精神保健福祉センター → リワークプログラムを行っているのは、ごく一部
という違いもあるので、もしも会社として
「リワークプログラムを受けてから、復職しませんか?。」
と、うつ病休職者に提案するのであれば休職者本人の体調やうつ病の症状に合わせて参加しやすい病院や医療機関を勧めるのが良いでしょう。
最近ではリワークプログラムを行っている医療機関のガイドブックが出ていたり、インターネットで調べる事も出来るのでこういったので情報収集してみたり、うつ病休職者が治療を受けている主治医に相談してみるという探し方もあります。
リワークプログラムは『通える』のが最大の条件
リワークプログラムを受ける為の最大の条件を知っていますか?それは
『プログラムに通える』
事です。うつ病をよく知らない人の為にここで解説をしますが、うつ病には
急性期 → 安定期 → 維持療法期
と大きく分けて3つの時期があります。急性期はうつ病を発症したばかりで、また症状がひどい・安定していない状態です。安定期は投薬やカウンセリング治療が必要だけど、症状が少し落ち着ついている。維持療法期は安定期より更に症状が治まり、復職するのに一番ベストといえる状態の事です。 このうつ病の時期を見分けるのは、素人には難しいですが例えば
- 外に出るとパニックになる
- やる気よりも不安感が強い
という状態でリワークプログラムを受ければ、ストレスや心の負担が増えますからうつ病自体を悪化させてしまいます。だから
- 朝、決まった時間に起きれる
- 電車やバスに乗っても大丈夫
- 読書やパソコンを触る事が出来る
という状態になっる、またはそこまで回復したうつ病休職者にリワークプログラムの提案をしてください。うつ病治療の為に休職したばかりの人に、
「では、リワークプログラムを受けてください。」
というのは酷な話ですし、成功しないのは目に見える結果となるでしょうから、この点は注意してください。
4.リワークプログラムを、うつ病休職者が受けやすくする為に。。。
例えば、うつ病休職者から
「主治医から復職OKの許可をもらったので復職したいのですが。。。」という連絡があった時に、
「リワークプログラムを受けてもらいたい」という考えがあるなら、ただ
「リワークプログラムを受けてください。」と言うのではなく、
「復職してくれるのは嬉しいのですが、その前にリワークプログラムという復職をサポートするものがあるのですが、復職しながらでも構いませんので受けてみてはどうでしょうか?私達も出来るだけ、貴方の復職が成功できるようしたいので。」
「これから復職するとなると、うつ病の症状が悪化する場合も考えられるので、リワークプログラムを受けてみてはどうか?という話し合いが社内であったのですが、どうでしょうか?」
という言い方をしてみてください。こういう言い方をすると、うつ病休職者も「復職を上手く行いたい」という気持ちは同じですから、「それなら受けてみようかな」という感じになります。
またもしも休職中という事で医療費の負担という費用面が心配なようであれば、
『自立支援医療制度』
という制度で医療費負担を軽くする事が出来るというのも説明してあげるのも提案の仕方としては良い方法だと思います。
「リワークプログラムを受けてください。」
と言うと、どうしても「会社から言われたから」という強制感がありますし、うつ病の症状が悪くて通えなかった時に、
「どうしよう?今日は通えなかった」
という抑うつ症状をひどくさせてしまうかもしれません。そうならないように、
- 会社は貴方のうつ病からの復職を応援したい
- うつ病の症状や休職者の安全を守る為に受けて欲しい
という思いを加えてリワークプログラムへの参加を提案すると、うつ病休職者も
「会社は復職を応援してくれているんだな」
という前向きな気持ちを持ちやすくなるのではないかと思います。ちょっとした言い方や提案の仕方ですが、こうした小さな部分が実は
『リワークプログラムを受けて、復職を成功させる』
大きなポイントになるかもしれません。
5.リワークプログラムの状況を施設と共有して、これからの復職の流れを決める参考に。
リワークプログラムを会社からうつ病休職者に参加を促したなら、リワークプログラムに参加した時の状況というのを、プログラムを行っている施設と情報を共有してこれから行うリハビリ出勤や軽減出勤そして本格的な復職へ向けての流れを決める参考にしていきましょう。
このリワークプログラム情報の共有は
- プログラムに参加している時の様子が分かる → 作業力や集中力の回復度合いが分かる
- うつ病の症状と合わせて、どのくらいの復職が可能かが判断できる
というメリットがあります。もちろん、この情報共有については
『本人の同意』
が必要なので、きちんと本人に了解を取ってから施設へ連絡してください。
情報共有の方法としては
- 電話
- FAXやe-mail
- レポート
- 面談
等がありますが
「記録に残しておく」 「今後のうつ病の社員の対策資料としたい」
という希望があるなら、FAX、e-mail、レポートで行うのが良いでしょう。そして可能であれば、週に1度や月に1度という目安で
- うつ病休職者本人
- リワークプログラムを行っている施設スタッフ
- 会社の上司または人事・労務担当者
というメンバーで面談形式で情報をやり取りすると、お互いの復職についての意識の確認が出来るので、
「全員が同じ方向で復職に向かっていける」
ようになります。
この時、産業医や主治医といった医療面のサポートをする人が一緒に面談に参加すると、うつ病の症状や治療を盛り込んだ復職プランを作れるので、よりうつ病休職者がリワーク(復職)の成功率が高くなります。
6.これからの会社に必要なうつ病やメンタルヘルスへの対策とは?
うつ病休職者へリワークプログラムを促すのは、会社での復職を成功させる為に必要な事ですが、これからの会社では
『うつ病やメンタルヘルスへの対策』
というのが今よりももっと必要となってきます。それはうつ病を患う人が増えているからというだけでなく、国としても「企業でのうつ病対策やメンタルヘルスケアの強化や充実」を推進しているというのがあるからです。
そこで今後どんな事が必要になってくるかというのを、大きなものだけですが以下に挙げてみました。
①会社としてうつ病対策を表明する
会社の一部署や個人的にうつ病対策やメンタルヘルスケアについて何かしているというのは、社内ではありますが会社全体とはいえません。
そこで会社として『うつ病対策に取り組もう!』と表明し、活動していく事で社外的にアピール出来ますし、社員も「うつ病になったとしても、会社がきちんと対応してくれる」と感じられるようになります。
②社員全員で「うつ病についての正しい知識」を持ち、情報を共有する
患者数がうなぎ上りと言えるくらいに増えているうつ病は、多くの人が知っている病気ではありますが、まだまだ偏見が多い病気でもあります。
この偏見がうつ病休職者がリワーク(復職)した時に、症状の悪化や再発を招いてしまうというのは良くある話ですし、こうしたトラブルや会社を訴えるというケースも近年増えています。
また他の社員による偏見が原因でリワーク(復職)を失敗させない為に、社員全員でうつ病についての正しい知識を学び、情報を共有していくという事が必要になってきます。
社員全員が同じ知識を持ち、情報を共有していけたら、うつ病休職者がリワーク(復職)してきた時に余計な偏見がなくなる効果が期待できます。そうなると、うつ病休職者としてもリワーク(復職)がしやすいですし、トラブルも防げると思います。
③就業規則の見直し
就業規則というのはどこの会社にも存在している「その会社に在籍して勤務する際のルール」ですが、
『うつ病治療やその為の休職』
についての就業規則があるという会社はまだ少ないと思います。うつ病治療や休職についての就業規則を新たに作る、または就業規則を見直してリワークプログラムへの参加や通院をしやすくするというのは、うつ病を患う人が増加している現在では急務といえる事かもしれません。
④うつ病対策やメンタルヘルスケアチームを作る
①~③を行う際に、誰か担当を決めて
「貴方が担当するように」
とするよりも動ける範囲は狭いですし、これが負担となってうつ病になんていう事も起こりえます。そこで
- 人事、労務担当者
- 課や部のトップ
- 課や部の社員代表
- 在籍していれば産業医
というメンバーで『うつ病対策チーム』、『メンタルヘルスケアチーム』というのを作って活動すると誰かではなく「社員一丸となって」という雰囲気になりますし、情報収集などもやしやすくなります。
そして「もしかしたら、うつ病なのかな?」と社員が思った時に相談しやすいという点や、実際に社員がうつ病になった時に、どんな対策をしたらいいか?を考えたり、リワーク出来るようになった時に準備がしやすくなります。
⑤うつ病やメンタルヘルスについて、そしてリワークプログラムについての情報収集
「うつ病の社員がいないのに、対策チームを作っても」
と思っている方もいるかもしれませんが、うつ病、メンタルヘルスケア、リワークプログラムについての様々な情報の中から、
『自分の会社に合っているもの、使いやすいもの』
を見つけるというのは難しいですし、直ぐには出来ません。
うつ病を患っている社員がいる・いないに関わらず、今からでもうつ病・メンタルヘルス対策チームを作って、 うつ病やメンタルヘルス全般とリワークプログラムについての情報収集を行って、不測の事態に備えておくというのもこれからの会社には必要な体勢だと思います。
仮に社員がうつ病になってから対策チームを作ったり、情報収集をしたとしても
「時、既に遅し」
となる可能性が高く、そうなればうつ病社員の退職だけでなく
『会社として社員の心身の安全管理』
を問われる事になるので、社外的なイメージは悪くなるでしょうし、働いている他の社員も
「うちの会社って、うつ病になったら何もしてくれないんだな」
と感じるでしょうから職場の士気が下がったり、場合によっては退職者が増えるという事が起こるかもしれません。そうならない為にも、これからは
『1会社で1つのうつ病・メンタルヘルス対策チーム』
となってくるでしょうし、こうした対策が会社そして社員を守るという事にも繋がってくるのではないでしょうか。
まとめ
うつ病を患う人が年々多くなっている今、TV・新聞・雑誌などでうつ病についての特集が組まれる事が多くなったので、目や耳にする機会は増えました。しかし、
「うつ病休職者の為の情報」 「うつ病休職者の復職を支援するリワークプログラム」
についてはまだまだ少ないし、これを読んでいる方の中には
「リワークプログラムって言葉を初めて聞いた」
という人もいらっしゃるかもしれません。
情報が少ないという事は見方を変えると、
「うつ病休職者本人そして復職を願っている会社もそういうのがあるのを知らない」
といえます。そうなると休職者本人には復職への不安、会社としては「どう復職をサポートしたらいいか?」と手探りの状態となるのは間違いないでしょう。
こうした状態で復職をする・サポートしていけば、せっかくのリワークも失敗と終わる可能性は高くなります。そうならない為にリワークプログラムは、うつ病休職者と会社にとって
『復職を導いてくれる最大の味方』
となってくれると思います。
薬のみに頼らない最新のうつ病治療法
90日で90.9%のうつ病寛解率!再発率は2.3%!
うつ病治療なら東京日本橋のYSこころのクリニック