YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

その症状「認知症」じゃなくて、もしかして 『高齢者のうつ病』なのかも?な話

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はっきりとしたデータではありませんが、

  • 65歳以上の高齢者だと約10%~20%
  • 70歳以上の高齢者だと約30%

がなっているというのが分かってきたものがあります。何だと思いますか?それは

『うつ病』

です。うつ病というと働き盛りの人や産前・産後といったようにストレスや心の負担を感じやすい状況にいる人がなる病気と思うかもしれませんが、高齢者のうつ病患者というのも実は多くいます。

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この高齢者のうつ病の中で

  • 認知症との違い
  • 高齢者がうつ病となる背景
  • 薬を使わないで行う高齢者のうつ病治療

といったのについて、これからお話していきます。

目次

  1. 高齢者がうつ病になる背景
  2. うつ病と判断されづらい認知症と仮面うつ病
  3. うつ病と認知症の違いについて
  4. 高齢者のうつ病、出来れは薬を使わずに治したい
  5. 高齢者のうつ病治療で医師にかかる際のポイント:病院探し編
  6. 高齢者のうつ病治療で医師にかかる際のポイント:お薬編

1.高齢者がうつ病となる背景

まず最初は

「高齢者がうつ病となる背景」

というのを探ってみたいと思います。

①孤独

高齢者がうつ病になる原因で多いと考えられているのの一つが

『孤独』

です。これは

  • 夫婦のどちらかが亡くなった
  • 親しい人が亡くなった、または引っ越しなどで余り会えなくなった
  • 子供が独立して家を出て、それまでよりも関わり合いが減った

というのから

「独り孤立する」=孤独

となってしまい、そこからストレスや寂しさ、不安感を生んでしまいうつ病を招いてしまいます。

②経済的な理由

田舎や地方都市といった所であれば「年金」で暮らしを賄える可能性というのは、大都市に比べたら高いかもしれませんが、年金が徐々に減らされている今では医療費負担が1割の場合であっても、日々の生活を年金で暮らしていくというのは難しくなっています。中には

「退職金やそれまでの貯金を崩しながら。。。」

というのも少なくありません。

また持病のある人だと通院や投薬を自分でコントロールして

「いかに金銭的負担を減らすか?」

というのを考えてしまい、病気自体が悪化したり、治らなかったりします。

持病が悪化してしまえば、

  • 今まで出来ていた事が出来なくなる
  • 痛み等でストレスが溜まる
  • 家に籠りがちになる

という風になってくるので、これも高齢者のうつ病を引き起こす要因となります。

③夫婦間の問題(定年後の夫婦の問題)

  • 夫源病
  • 主人在宅ストレス症候群

というのを聞いた事がありますか?どちらも

「夫が定年退職後に家にずっといる」

といったのが、この病気の主な原因です。

例えばですが、定年退職後のご主人が奥さんのそれまでの見えていなかった生活が見えてきて、それについてとやかく言ったり、それまで奥さんの家事を手伝った事がなかったのに急に手伝ったりして、奥さんの生活ペースが狂ってストレスを感じたりすると、この病気になる確率が高くなります。

夫源病、主人在宅ストレス症候群、どちらも原因は「夫」となりますが、「妻」に原因がないのか?と言われればそんな事はありません。

これらの病気の逆パターンで、妻が定年退職後の夫に

  • ずっと家にいないで、どこかに外出したら?
  • 家にいるなら、家事の一つくらい手伝ってよ!
  • ご近所の○○さん、貴方と同じように定年退職したけどサークルに参加してハツラツとしてるわよ。

といった奥さんからすれば「何気ない一言」が、夫としては苦痛や心の負担となってしまい

「帰宅拒否症候群」

になってしまう場合があります。こうした心の負担が原因の病気というのは、既に心が重荷を抱えている状態なので、うつ病に繋がる可能性も高いし、こうした病気からうつ病へとなった人も少なくありません。

④老老介護の問題

ここ何年かの高齢者のうつ病でも特に多いといわれている原因が

『老老介護』

です。

老老介護では介護される側、する側どちらも高齢者です。高齢者でなくても介護というのは大変な重労働ですし、病気や認知症の人を介護するというのは更に負担が増します。介護の問題や負担が大きくなれば、介護する側のストレスは増加するのは間違いありません。

実際こうしたストレスからうつ病になる高齢者は年々増えていますし、中にはこれが元で虐待、殺人、心中といった悲しい事件も起きています。

⑤病気治療による入院やリハビリでのストレス

高齢者になると病気治療や突然の発病で入院やリハビリといったのを余儀なくされたり、これがきっかけで自宅ではなく、介護施設へ入居となる事があります。

こうした

  • 今までと違う生活環境
  • 出来ていた事が出来ない
  • 介護施設入居等での新しい人達との関わり

といったのは高齢者の心理としては、かなりの負担となりますし、ストレスを感じやすくなるので、これも高齢者がうつ病になる原因と考えられています。

2.うつ病と判断されづらい認知症と仮面うつ病

  • 家の中に籠りがちになる
  • 趣味や好きだった物に興味を示さなくなる
  • 眠れない
  • 前と性格が変わったように感じる(怒りっぽい、ふさぎがちになる等)
  • 物忘れが激しくなったり、不安感が強い

これらはうつ病の症状の代表的なものですが、これ、何かの病気に似ていませんか?そう、

『認知症』

です。認知症になっている高齢者の中には、こうした症状が本来はうつ病からきているのに、高齢者というポイントから認知症と診断されるケースがあります。また「うつ病と認知症の合併」というケースもあります。

このうつ病と認知症は似通っている症状が多い分、

  • 認知症ではなく、うつ病だった
  • うつ病ではなく、認知症だった

というのが治療していて分かったという話もあります。ただこれは「誤診」というよりも、高齢者のうつ病は医師でも診断が難しいといえるものなのです。

次に、もう一つ高齢者になると「あちらが痛い」、「こっちが痛い」というように、毎日体のどこかの痛みを訴え、実際に病院を受診・治療をしてもらったけど

「一向に、痛みがなくならない」
「どこか調子が悪い」

と感じる事があります。こうした時それは実際には体の痛みというよりも、心の抑うつ症状が引き起こしている痛みで、これは

『仮面うつ病』

といわれているうつ病です。心の抑うつ症状が良くならないと、仮面うつ病は治らないのでこれも高齢者がなると

「あちこち痛いのは、歳だから。。。」

と本人も周りも思ってしまうので、つい見落としがちなうつ病からのサインです。

3.高齢者のうつ病と認知症の違いについて

目次2で高齢者のうつ病と認知症が間違えられやすいというのを話題にしましたので、ここでは

「高齢者のうつ病と認知症の違い」

についてとします。「高齢」という大きな判断基準がある為に、

  • 高齢者のうつ病なのか?
  • それとも認知症なのか?

というのは見極めが難しいのですが、違いのポイントとして

  • うつ病 体の苦痛や辛い、悲しいというような抑うつ症状が強い
  • 認知症 アルツハイマー型の場合だと、無気力感が強くなるので抑うつ感が少ない

というのがあります。

もちろん、これだけで「うつ病だ。」、「認知症だ。」と判断するのは時期尚早ですが、「最近、何だか様子が変だな」と思った時の参考にはなるかと思います。ただ最終的な判断は、勿論きちんと専門医を受診して診断してもらいましょう。

4.高齢者のうつ病、出来れは薬を使わずに治したい

うつ病の治療の基本は不安や抑うつ症状を抑える為に、抗不安薬や抗うつ薬といった薬を使う投薬治療ですが、高齢者の場合、既に持病の薬を飲んでいる事が多いので薬の飲み合わせや副作用の問題が出てきます。

そこで

「出来れば、薬を使わずに高齢者のうつ病を治していけたら。。。」

と思うのではないでしょうか?そこで薬を使わずに高齢者のうつ病を治していく治療法には次のようなのがあります。

①グループ療法

高齢者のうつ病だけではなく、うつ病というのは症状がその人、その人で違うのと同じように

「なってしまった原因」

というのも十人十色です。そこで医師は注意深くその人のうつ病の原因を探っていき、それが

  • 家族との死別
  • 介護問題

といったのであれば、同じ問題や悩みを抱えている患者さん数人で集まって、お互いの思いを話す「グループ療法」を行います。

お互いの悩みや問題といった「苦しんでいる事、辛い事、悲しい事」を話す事で、抑うつ症状を和らげたり、「自分一人じゃないんだ」と思えるようにしていき、そこから高齢者のうつ病を改善・完治へと繋げていきます。

②認知行動療法

長く生きていると

  • こうじゃないとダメ!
  • こうすべきだ

という考え方というのに、どうしても捉えられがちになってきます。そして高齢者になるとこうした今までの考え方が更に凝り固まったようになり、そこから

  • 自分の気持ちが伝わらない
  • 周りとコミュニケーションが取れない

という状況になり、うつ病となる事があります。それまでの考えを変えるというのはかなり難しい事ではありますが、認知行動療法ではまず

「凝り固まった考えをほぐす」

から治療を始めていきます。凝り固まった考えをほぐすというのは例として

  • 今までAと考えていたけど、Bという考え方もある。
  • こういう風に言われたら、こう解釈すればストレスに感じない(減る)

というように

『それまでのマイナス思考を、いかにプラス思考に変えるか?』

にポイントを絞っていきます。認知行動療法は自分の考えやストレスの捉え方を変える事で、うつ病を治していくという治療法なので、薬を使わないので副作用の心配がないし、

『自分で自分の考え方を変える』

ので「自分で治せた!」という達成感を患者さんが感じやすい治療法といわれています。

③栄養療法

高齢者の中には

  • 食欲が落ちてしまって余り色々食べれない
  • 薬の関係で食べられない物がある

という方がいて食事がきちんと摂れなかったり、偏ってしまいやすいです。そうすると、どうしても必要な栄養素が足りずに、栄養不足となります。

栄養不足になると高齢者の場合は体力が落ちるだけでなく、脳でストレスを抑える効果があるセロトニンと呼ばれる脳内ホルモンが少なくなるので、不安感や孤独感を感じやすくなり、これがうつ病を患うきっかけとなる事があります。

また服用している薬の中には「体が栄養を摂取するのを妨げてしまう」というのがあり、これによって栄養不足を招いている場合もあります。

栄養療法ではこうした栄養不足を解消して、体がきちんと栄養を摂取出来るようにしてうつ病を治していけるようにしていきます。

具体的な方法は問診と血液検査を行って、血液検査の結果を医師がチェックして足りない栄養素を判断して、サプリメントを処方するという流れになっています。ただ、ここで注意して頂きたいのが

「サプリメントなら、ドラッグストアでも買えるから、そっちの方が手軽じゃない」

という考え方です。確かに今ドラッグストアやスーパーに行くと、沢山の種類のサプリメントが売られていますが、これらから素人判断で

「私はカルシウムが足りないから、カルシウムのサプリメントを」

と選ぶのは、本当にそうなのかどうかというのが見えないので効果は低いといえます。ですから、少々手間がかかるかもしれませんが、栄養療法を行っている医師に見てもらって判断してもらいましょう。

その方が栄養療法の効果としては高いですし、サプリメントも市販で売られているのよりもより安全性のあるものが処方されるので、高齢者のうつ病治療での安全性にも配慮が出来ます。

5.高齢者のうつ病治療で医師にかかる際のポイント:病院探し編

ここで高齢者のうつ病治療で医師にかかる際のポイントをまとめてみましたので

「もしかして。。。」

と思った時の参考にしてください。

まずは係りつけ医に相談を

高齢者本人や周りの家族が「もしかして、うつ病なんじゃ。。。」と感じた時、まずどうしたらいいのでしょう?

持病や病気やケガで入院後の治療といった目的で、高齢者の中には「普段病院に通院している」という人が多いと思います。もしそういう方であれば、まず係りつけ医に相談してみましょう。総合病院であれば心療内科や精神科を併設している所がありますので、そちらの受診を手配してくれます。

そうでない場合でも、個人的にうつ病治療の専門医を知っているという医師も沢山いますので、そちらを紹介してくれたりしますので、総合・個人を問わず係りつけ医がいる場合はまずこちらに相談してみてください。

友人やガイドブックで情報収集してみる

実際にうつ病になっている高齢者にはちょっと無理かもしれませんが、もし家族や周りの人が行うというのであれば友人や本屋さんで売られているうつ病治療を行っている病院を紹介しているガイドブックで、情報収集してみましょう。

心療内科や精神科というのは内科や外科といったのに比べると数が少ないので、「あそこが良いよ」というのを聞く事が余りありません。

だから友人に聞いてみたり、ガイドブックを活用して高齢者のうつ病治療を行っている医師や病院についての手元の情報量を増やしてから、受診する病院を決めていきましょう。

係りつけ医がいない、情報収集が出来ない場合

高齢者のうつ病になっている本人に係りつけ医がいない、介護をしていて高齢者のうつ病をしている専門医等の情報収集をしている時間がないといった人の場合は

  • 住んでいる市区町村の地域包括センター
  • 全国精神保健福祉センター

に問い合わせてみると、高齢者のうつ病についての情報を色々と教えてくれるので、こういった相談窓口があるというのを覚えておくと便利だと思います。

6.高齢者のうつ病治療で医師にかかる際のポイント:お薬編

持病や突然の発病で手術、治療といったので薬を服用している高齢者というのは多いと思いますが、もし高齢者のうつ病治療を行う際には、

『必ず、服薬している薬の情報を明確に』

して、医師に前もって話す必要があります。というのも高齢者のうつ病を医師が

  • 薬を使う場合 → 飲み合わせや飲んでいる薬の処方を変えてもらう必要性
  • 栗を使わない場合 → 飲んでいる薬が、うつ病の原因を作っていないか?

というのをチェック出来るからです。ここのチェックがきちんと出来ているか否かによっては、後々の高齢者のうつ病治療過程で大きな差が出るでしょう。

こうした服薬している薬についてというのは、一番良いのは

「お薬手帳」

を持参する事です。お薬手帳には処方した薬の情報と服薬量や回数が書かれているので、これがあれば医師は一目瞭然です。

ただ、

  • お薬手帳がない
  • 普段離れて暮らしていて、何を飲んでいるかよく分からない
  • 現在飲んでいるかどうか分からないけど、病院からの処方薬がある

時には、

「この薬を飲んでいる(飲んでいた)」

というのが分かるので、薬を直接持参してください。そうすれば医師としても「何を服用している(いたか)分からない」というよりも判断しやすくなるので、高齢者のうつ病に配慮して効果のある治療法を選択する事が出来ます。

まとめ

この中でもお話しましたが、高齢者のうつ病と認知症というのは症状が似通り過ぎているので、判断するのはとても難しいし「紙一重」といえるかもしれません。それに「高齢」というのに先にポイントが当てられてしまって、これが高齢者のうつ病を見逃している原因にもなっています。

ここでは高齢者のうつ病と認知症の違いといったのも簡単にですが説明していますので、そういったポイントから「もしかして。。。」と思ったら、直ぐに専門医の受診を考えてみてください。そうすれば、うつ病の治療を早く開始出来ますし、認知症と診断されて気づかないままというのも防げます。

また「うつ病は薬を使わないと治らない」と思われているかもしれませんが、グループ療法・行動認知療法・栄養療法といった『薬を使わない、高齢者のうつ病治療法』というのもありますので、

「歳だから」

と思わずに、「あれ?」と思ったら認知症だけでなく、高齢者のうつ病というのも考えてみてくださいね。

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