うつ病という病は今では結構知られている病ですが、皆さんがよく知っているうつ病というのは最も一般的と言われている「大うつ病」と呼ばれているものです。この大うつ病の他にも
- 産後うつ
- 仮面うつ
- 新型うつ
等の様々なタイプがあります。こうしたうつ病の中でまだあまり良く理解されていないうつ病というのがあります。それが
『老人性うつ病』
です。この病がまだ余りよく理解されていない大きな理由は
『老人性うつ病は認知症と間違われやすい』
というのがあります。
実は私の祖母は老人性うつ病と認知症のどちらにもなったのですが、最初は「認知症なんだな」と思っていました。そんな祖母との体験をを思い出しながら、老人性うつ病についてお話していきます。
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目次
- こんな時は老人性うつ病になりやすくなる
- 医師でも難しい「認知症」との境界線
- 「あそこが痛い」、「ここが痛い」の理由は抑うつ症状の可能性あり
- こんな症状は認知症ではなく、老人性うつ病かも
- どこに?どうやって連れて行ったらいいの?
1.こんな時は老人性うつ病になりやすくなる
まず最初にうつ病というと仕事のストレスや人間関係、出産前後というようなのを経験している人がなると思われがちですが、老人と言われる高齢者でもうつ病になります。どんな時に高齢者がうつ病になりやすいかというと主なものとしては
① 家族との死別
② 同居等の生活環境の変化
③ 病気治療の為の入院や後遺症
があります。
①の家族との死別は恐らく老人性うつ病になる原因としてはNo.1と言えるべきもので、特に男性であれば奥さん、女性であればご主人が亡くなられた時が多いです。
「連れ合いを亡くした」
という大きく深い悲しみがその理由なのは当然ですが、それ以外にも
- 男性なら奥様がしていた事(家事等)
- 女性ならそれまでご主人が家長であったのを自分がする事
で、それまでにないストレスを感じるようになるので家族の中でも連れ合いを亡くすというのは老人性うつ病になりやすい状況が高いといえます。
②では高齢になって子供さんご家族と同居したり、老人福祉施設に入居したりとそれまでの生活環境がガラリと変わると、子供さんご家族とだとよくある
- 「嫁姑問題」等のトラブル
- 慣れない土地での生活
といったのが、そして老人福祉施設に入居の場合だと
- 今まで自分がしていた生活ペースで生活出来ない
- 全く知らない人達との集団生活
というのが老人性うつ病になる原因となってきます。
そして③の病気治療の為の入院や後遺症というのは、高齢になるとどうしても体の不調や持病の悪化というのは避けられない事が多いし、脳や心臓系の突然の病に襲われるというリスクも高いです。
この時の治療や手術の為の入院や後遺症が残って体の一部に障害が残ってしまうと、
- 一生治らないという不安感
- 今まで出来ていた事が出来ない焦り
というストレスが大きくなり、ここから老人性うつ病になってしまうというケースがあります。
ちなみに我が家の祖母は病気入院中に祖父を亡くしたのがきっかけでしたが、当時は「長い入院生活で、ふさぎ込んでいるんだろうな」と思っていました。
また上の3つの主な理由以外にも
- 仕事を退職する
- 子供の独立
- 経済的な問題
といったのがありますので、もし高齢者がこうした状況になった時は
「うつ病になる因子がある」
と考えて、言動を少し気をつけて見るようにした方がいいでしょう。
2.医師でも難しい「認知症」との境界線
始めに
「老人性うつ病は認知症と間違われやすい」
と言いましたが、これは素人目から見てというのではなくプロの立場である医師からでも同じ事がいえます。というのも老人性うつ病の症状には
- 口数が少なくなる
- 趣味や好きだった事をしなくなる
- 気分の落ち込み
というのがありますが、これ認知症の症状としても当てはまるのです。
「けど、それって認知症かどうかのテストをしたら分かるんじゃないの?」
と感じるかもしれませんが、認知症のテストを老人性うつ病の方が受けると集中力ややる気が減少しているので、本来なら認知力があるにも関わらず低く見られてしまい、要介護1レベルなのが要介護3となる場合があるので、言い方を変えると
「自分にも周りにも混乱を与えてしまう」
結果になってしまうのです。勿論、医師は慎重に見極めますがそれでも
- 認知症ではなく老人性うつ病だった
- 老人性うつ病ではなく認知症だった
というケースは多く、この境界線というのはとても難しいものとなっています。
我が家の祖母は
- 家族(祖父)を亡くした
- 病気の治療・入院中だった
という理由から口数が少なくなったり、「死にたい。」と口にするようになったので主治医が老人性うつ病と判断し、病気治療と並行してこちらの治療も行いました。しかし診断から2年くらい経つと、
- 徘徊
- 記憶力の低下
- 会話がかみ合わない
という症状が出始めました。この症状が出るようになってからは「死にたい」と言うのは少なくなり、記憶力は低下していても口数は前よりも多くはなったりというのが見られるようになり、そこから医師は認知テストや日々の症状を私達家族から聞いて「認知症」と判断しました。
こんな感じで老人性うつ病と認知症と言うのは境界線が難しいだけでなく、紙一重とも言えるので「もしかして。。。」と思ったら、老人性うつ病や認知症を勝手に判断せずに、まず医師に相談してください。
3.「あそこが痛い」、「ここが痛い」の理由は抑うつ症状の可能性あり
高齢になるとよくある会話に
「あそこが痛い。」
「ここが痛い。」
というのがありますよね?そして「トランプが出来るくらい」診察券を持っていたりというのも多くなってきます。高齢になればあちこち「ガタ」がくるのは仕方ありませんが、もしも
「病院に通っているのに治らない。」
なんていうのを聞いたりしたら、それは肉体に何らかの原因があるのではなく
『抑うつ症状』
による可能性が考えられます。
うつ病の原因は心の負担やストレスといったのが抑うつ症状を引き起こしているからなのですが、この抑うつ症状がふさぎ込んだり、気分の落ち込みといった症状ではなく、肩こりや腰痛そして頭痛や腹痛といった肉体的な痛みで出る事があります。これ
「仮面うつ病」
といいます。老人性うつ病とは違ったタイプのうつ病ですが、高齢者の「あそこが痛い、「ここが痛い」を
「歳だから」
とするのではなく、例えば治療して症状が2週間以上治らない場合や先程紹介した老人性うつ病になる要因というのに当てはまるのがあったら、肉体的な病や高齢を理由にするのではなく
『抑うつ症状』
になっているのではないか?と疑ってみてください。もしこの時点で抑うつ症状が発見されれば、老人性うつ病になるのを防げるか効果は高いですし、なったとしても早期治療が行えるので重症化も回避出来ます。
4.こんな症状は認知症ではなく、老人性うつ病かも
医師でも老人性うつ病か?認知症か?と判断が難しい老人性うつ病ですが、ちょっとした違いというのがあります。1つ目は
『無気力』
です。老人性うつ病の場合は「やらなきゃいけない」というのは頭でわかっていても、心の抑うつ症状が原因でそれをするパワーがないという無気力で、この場合「あぁ、また出来なかった(やらなかった)」という落ち込みや焦りが出てきます。
対して認知症の場合は「やらなきゃいけない」という気持ちは薄いので、ただボーっとしている感じに見えます。
2つ目は
『苦痛や辛さを訴える』
です。老人性うつ病の場合は例えば抑うつ症状からくる体調不良や心の不安感というのを
「肩が痛い。」
「家に一人きりで不安だ。」
「毎日話す相手が入なくて辛い。」
という痛み・苦しさ・辛さで口にします。認知症の場合は抑うつ症状が起こっていない、または無い状態なので、こうした事を訴える事は少ないです。
3つ目は
『罪悪感や死にたいという思い』
です。老人性うつ病になると抑うつ症状による気分の落ち込みもですが、
「あの時、あんな事してしまった」
「あんな言い方をして悪かったな」
という罪悪感みたいな気持ちを強く感じます。だからちょっとした会話でも後になって、相手が気にしていなくても
「あの時は、ごめんなさい。」
と謝罪するというケースがあります。認知症の場合は2つ目でお話したように抑うつ症状が少ないまたは無い状態なので、こういった状態になる事は余りありません。
他にも色々老人性うつ病と認知症を素人の私達が判断する基準になるのはあるのですが、その中で一番分かりやすいのを選んでいました。特にこの3つは同居をしている形だと比較的気づきやすいポイントなので、覚えておくと「あれ?」と思った時に一つの参考になるかもしれません。
5.どこに?どうやって連れて行ったらいいの?
ご家族や身近にいる高齢者に
「老人性うつ病かも?」
と思う症状が出た時、
『どこに?どうやって連れて行ったらいいの?』
となるでしょう。この時、高齢者の方で持病等から通院をしている場合なら、まず
『主治医や、係りつけ医』
に相談してください。ここで本人に病気の自覚があるなら症状を医師に説明する事も出来ますが、本人が言えない場合や
「私(俺)は、うつ病じゃない!。」
と受診を避ける場合なら、まず家族が主治医に相談して専門の医療機関を紹介してもらうという方法があります。けど紹介を受けたとしても「病院嫌い」な高齢者や、自分をうつ病と思っていない人に
「老人性うつ病かもしれないから、専門の医療機関へ行こう。」
というのは返って受診や治療を拒んでしまうので、治療や回復の見込みが薄くなります。そんな時は
「この病院で高齢者向けの健康診断がすごく良いって評判なんだけど、今度一緒に行ってみない?。」
「私、この前病院に行ったら別の専門病院を紹介されたんだけど、ちょっと着いて来てくれない?。」
というように
『明らかに、老人性うつ病の検査や受診』
と思わせないようにすると割と上手くいくようです。
我が家の祖母の場合はどうだったか?というと、当時既に病気治療の為の入院をしていたので主治医から
「Aさん(=祖母)。あのね今度、Aさんの検査が1つ増えるんだけど、これはAさんが入院生活が長いから、ちょっと他に衰えている所がないかをチェックするのだからね。直ぐ終わるよ。」
と言ってもらい、検査の時は私の両親と祖母と一番仲の良かった看護婦さんが付き添ってくれたので、何も問題なく老人性うつ病と認知症、どちらも検査が出来ました。
ちょっとした一手間なんですけど、この一手間を知っているかいないかでスムーズに受診出来るかどうか?というのが大分変ってきます。そうなると、もし老人性うつ病だった場合の早期治療や早期回復といったのにも影響が出てくるといえます。
この一手間、いきなり医療機関に行って先生達にお願いするよりかは、出来る限り付き添って行って顔見知りになった方が相談しやすいので、
「一手間の一手間」
にはなりますが、
『一緒に病院へ行く』
というのは高齢者にとっては安心感がありますし、貴方にとっても老人性うつ病や認知症を疑った時に相談しやすくなるので、
『面倒だけど、後々重要になってくる一手間』
といえると思うので、自分の生活を犠牲にしてまでとは言いませんが、出来る限り付き添ってあげた方が良いんじゃないかなと思います。
まとめ
「この病室の窓から飛び降りて死にたい。」
この祖母の一言が私達家族に彼女の老人性うつ病を気づかせてくれました。彼女が入院中に旦那さんである祖父が亡くなったというのは伏せていたのですが、ちょっとした事情から祖母に知られてしまいました。
祖父の死を知ってから、祖母は食欲が落ちる、口数が少なくなる、私達がお見舞いに行ってもずっとボーっとしてるといった症状が日に日に増してきました。その症状を私達は
「お爺ちゃんが亡くなって、ショックで認知症になりつつあるのかな。」
と話していました。けど、そうじゃなかったんです!
祖父の死を知ってから3か月くらい経った時に、ポツリと言った一言がさっきの「死にたい。」だったのです。その一言をたまたま父とお見舞いに来ていた私は
「お婆ちゃん。多分、認知症じゃない。もしかしたら、うつ病なのかも。」
と咄嗟に父に話していました。どうして、そう判断したのか?というと、実は私は小学校6年生から中学2年生まで不登校生徒だったからです。この時に私も学校に行けない自分をかなり責めていましたし、毎日「死にたい」と考えて、死に場所や遺書を書いた事が何度もありました。
その時の私に祖母が似ているような気がしたんです。父も私のそんな発言に思う処があったのか、直ぐに主治医に相談に行ってくれ、幸い早期治療が出来ました。
回復したのか?については、祖母はその後歳を重ねるにつれ、認知症の症状の方が強くなっていったので、老人性うつ病が治っていたのかというのは定かではありません。けど認知症になって、時々会話が繋がらない事もあったけど昔話や祖父との「恋バナ」も聞かせてくれたし、よく笑っていたので私的には
「お婆ちゃんの老人性うつ病は治ったんだな」
と思っています。
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