YSこころのクリニックスタッフブログ

現代のうつ病事情を読み解く!東京都江東区門前中町の心療内科・精神科「YSこころのクリニック」がうつ病に関する様々な情報をお届けします。

強欲も少欲も捨てる!

皆さま、こんにちは。 YSこころのクリニックのカウンセラー奥村です。

台風が過ぎ、暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか? 日傘や帽子を持ってお出かけになると安心ですね。

先日は3年ぶりに、友人Kさんのピアノのリサイタルに行ってきました。 この友人は、私がガンで入院を繰り返していたころに、 病院で仲良くなったRちゃんの告別式で出会った方です。

Rちゃんが結び付けてくれたご縁です。 Kさんと会う時は、いつもRちゃんの話をします。 ピアノの素敵な音色を、きっと喜んでくれていると思います。 この不思議なご縁をこれからも大切にしていきます。

それでは、佐藤康行著『捨てる生き方』より。

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強欲も少欲も捨てる!

現代人は二極化しているといわれます。 この二極化には二種類あるとされます。 経済的二極化と、経済的繁栄に対する意欲の二極化です。

お金持ちの層と貧しい層、お金持ちになりたい層と なりたいとも思わない層という二種類のセットが生じているのです。 前者は物質的な格差であり、後者は精神的な差異です。

私がここで問題にしたいのは、後者です。 「もっと、もっと」と経済的な繁栄を求める人々がいる一方で、 「もうこれで十分」と現状に満足して生活を楽しむ人々が いるという現代の金銭欲の二極化です。

しかし、どちらの道に進んでも心の底から満たされることはないと思います。 まず、「もっと、もっと」の人は、どこまでも欲望の対象を 追いかけて際限がありません。不足感に苦しみ、 喪失の恐怖に怯え続けて人生を終えることになります。

会社を急成長させ、一躍時の人となるのも束の間、 経済犯罪で逮捕された某IT企業の経営者などは、 「もっと、もっと」の典型といえます。

戦後日本は驚異的な経済成長を遂げて豊かになり、 不況といっても住むところにも、着るものにも、 食べることにも事欠きません。それでも満足しない人々がいます。

それは、執着する心があるからです。 不足してなくても「もっと欲しい」と思わされるのです。 この世界はどこまでもいってもキリがありません。

その理由ははっきりしています。モノや金に執着し始めると、 失うことへの不安が生じてしまうのです。 生まれてきたとき裸一貫だったこと。そして死んでいくとき、 あの世には何一つ持って行けないことを忘れているのです。 そのためにモノや金に振り回されてしまいます。 私自身がそういう経験をしましたから、その気持ちはよくわかります。

私が以前レストラン事業をしていたとき、 経営者としての使命感がありました。しかし、 それよりも金や地位や名誉への欲があったのも事実です。

「もうこれでいい」とはとても思えませんでした。 「もっと、もっと」の世界に生きていました。 この気持ちの根底には「守るべきもの」があるのです。

だからそれを「当然のこと」と思ってしまうのです。 しかし、私はそこから劇的に方向転換しました。 あるとき、金銭欲や名誉欲という表面的な欲望の奥に、 「自分を人間的に成長させたい」「人に喜ばれたい」という 強い思いを明確に認識できたからです。

「もっと、もっと」の人は、自分の欲望の奥のある思いに対して、 心を静めて耳を傾けるべきです。 そして、その自分の内なる声に従って生きるべきです。

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次回につづく。 今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。